ショートスクイーズとは？原因やチャートパターンを解説

マーケットスクイーズとは？

マーケット（金融市場）では、「マーケットスクイーズ」と呼ばれるトレンドが発生することがあります。マーケットスクイーズには、以下の2種類があります。

• ショートスクイーズ：マーケットが売り持ち（ショートポジション）に傾いている時に発生
• ロングスクイーズ：マーケットが買い持ち（ロングポジション）に傾いている時に発生

ショートスクイーズとは？

ショートスクイーズは、マーケットが売り持ち（ショートポジション）に傾いている時に発生します。よって、ショートスクイーズが発生する場合、売りのポジションを保有しているトレーダー（ショート筋）は損失が拡大するリスクに直面します。よってショート筋、特に貸株料を払って株式市場で信用売り（空売り）取引をしているトレーダーやCFDで株式の売り（ショート）を行っているトレーダーは、ショートスクイーズが発生する場合、素早くポジションを清算する必要性に迫られます。一方、ショートスクイーズを仕掛けるトレーダーは、ショート筋のポジションを損切りさせることを目的に買いを仕掛けることがあります。
なお、空売りした株式を買い戻すことを「ショートカバー」といいます。

ロングスクイーズとは？

一方、「ロングスクイーズ」は、マーケットが買い持ち（ロングポジション）に傾いている時に発生します。ロングスクイーズが発生する場合は、買いのポジションを保有しているトレーダー（ロング筋）が損失拡大のリスクに直面します。よってロング筋は、ロングスイクーズが発生する局面では買いのポジションを素早く清算する必要性に迫られます。

ショートスクイーズの原因

大きな買いを仕掛けたトレーダー達によって株価が押し上げられると、ショート筋は損失を限定するために保有している売りポジションの解消（ショートカバー）を迫られます。そして買いトレードとショートカバーの取引量が急速に膨れ上がる（株式の買い需要が供給をはるかに上回る）ことで、株価が急騰します。それゆえショートスクイーズは、ショート筋を締め上げる取引手法と言えます。

ショートスクイーズを見極める方法

テクニカル指標を使う

ショートスクイーズが発生する状況にあるのか？を見極めるため、多くのトレーダーはテクニカル指標を使用します。
具体的には、相対力指数（RSI）やウィリアムズ%Rなどのオシレーター系指標で、現在のマーケットが売られ過ぎなのか？を考えます。
IG証券の取引システムでは、RSIとウィリアムズ%Rを提供しています。以下のチャートをご覧ください。四角のグレーゾーンが売られ過ぎのシグナルとなります。

空売り比率を確認する

上のテクニカル指標を用いるだけでは、ショートスクイーズが発生するかどうかを見極めることはできません。
そこでショートスクイーズを狙うトレーダーは、空売り比率も確認します。空売り比率とは、1日の売り注文全体の売買代金に対する空売り（信用取引を含む）の売買代金の割合（パーセンテージ）のことです。日本株の空売り比率のデータは東京証券取引所が提供している「空売り集計」で確認することができます。空売り比率が高まると、ショートスクイーズの可能性が高まります。逆に空売り比率が低下すると、ショートスクイーズの可能性も低下します。
また、空売りの総額でもショートスクイーズの可能性を探ることができます。空売り総額は、空売りされている株式数を発行済み株式の総数で割り、それに100を掛けて計算します。

きっかけとなるカタリストにも注目

通常、ショートスクイーズは不意を突いて発生します。よって、テクニカル指標や空売り比率だけをチェックしても事前にショートスクイーズの発生を予測することは難しいでしょう。
そこで、ショートスクイーズの発生となるカタリスト（上昇相場のきっかけとなるイベントや材料）にも注目する必要があります。具体的には予想を上回る決算、新技術の開発、または世の中の変革を促す新製品の発表などが、ショートスクイーズ発生のカタリストになり得ます。

ショートスクイーズの例

ショートスクイーズの例：Volkswagen（フォルクスワーゲン）

ここで、ショートスクイーズの例をご紹介します。
2008年10月、Volkswagen（VOWG）の株価はたった2日間で210ユーロから1000ユーロへ5倍も急騰する展開となりました。この株価急騰により、Volkswagen（フォルクスワーゲン）の時価総額は一時世界1位となりました。なお、急騰前のVolkswagenの株価は下落トレンドにありました。

フォルクスワーゲンのチャート

2008年の株価急騰のきっかけは、Volkswagenの議決権株式の74%を掌握していることをPorsche（ポルシェ）が発表したことでした。市場参加者の誰もが驚いたショートスクイーズでしたが、最も驚いたのがVolkswagenの売りポジションを保有していたトレーダー達でした。彼らは保有ポジションの損失拡大を防ぐため、損切りのショートカバー（株式の買戻し）を迫られました。その結果、Volkswagenの株式需要が急速に高まり、株価は一気に1,000ユーロまで急騰しました。

ショートスクイーズの例：Tesla（テスラ）

2020年に発生したTesla（TSLA）株の急上昇もショートスクイーズの好例です。このショートスクイーズが発生するまでTesla（テスラ）の株価は、ナスダック市場で最も空売りされている株式でした。しかし、予想を上回る第4四半期決算などの材料が投資家に好感され、同社の株価は400ドルから900ドルを目指す展開となりました。

Teslaの株式の売買と空売りに関する詳細はこちら

以下のチャートで2020年前半（2020年1月23日から2020年5月18日）のショートスクイーズの状況を確認すると、900ドルから400ドルまで同社の株価が急落していることがわかります。しかし”〇”で囲った箇所を起点に、再び株価が900ドルを目指す展開となっています。ショートスクイーズの発生です。この時の急騰は、テスラ株の需要が急速に高まったことを示しています。

テスラのチャート

ショートスクイーズの取引方法

1. 口座を開設し取引システムにログインする
2. 取引したい市場と銘柄を選ぶ
3. ショートスクイーズが発生しやすい状況にあるかを確認する
4. ショートスクイーズが発生すると思われる銘柄を買う
5. ポジションを保有した後はリスク管理のための対策を講じる
6. 利益が出るタイミングで保有ポジションを決済する

IG証券でショートスクイーズを狙う場合は、上の取引手順に沿ってCFDで買い（ロング）を仕掛けます。思惑通りにショートスクイーズが発生する場合は、利益を確定する機会も常に意識してください。短期間で急騰したマーケットは、他のトレーダー達の利益確定売りにより急落する可能性があるからです。

ショートスクイーズのまとめ

• ショートスクイーズとは、マーケットが売り持ち（ショートポジション）に傾いている時に発生する
• ショートスクイーズは、株式市場で空売りをしている投資家（ショート筋）にとって損失を被るリスクとなる
• ショートスクイーズが発生する場合、ショート筋は売りポジションの解消を迫られる
• 買いの注文とショートカバー（買戻し）の注文があわさり、株式の需要が供給を急速に上回ることでショートスクイーズ（株価の急騰）が発生する
• ショートスクイーズが続く間に買いを仕掛けたトレーダー（ロング筋）は、利益を獲得するチャンスをうかがう

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