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6/11の米株市場急落の背景は何か?

米国ウィークリー2020年6月16日号

Source: Bloomberg
  • 米国株式市場は、6/11にダウ平均株価の終値が前日比1,862.82ドル安と過去4番目の下げ幅を記録した。6月第1週(1-5日)では、S&P500業種別株価指数において年初来の騰落率でマイナスが大きい業種が週間騰落率で上位を示したが、第2週(8-12日)では、逆に年初来騰落率の上位業種が週間騰落率でマイナスとなったものの上位を占めた。ダウ平均銘柄構成銘柄についても同様に、6月第1週は年初来騰落率でマイナスが大きい銘柄が週間騰落率で上位を占め、第2週は年初来騰落率で上位を占めるアップル(AAPL)マイクロソフト(MSFT)が週間騰落率で上位となった。株式市場は、景気に敏感な「経済再開期待」関連業種・銘柄とテレワークへの移行で恩恵を受ける「巣ごもり・デジタル化」関連業種・銘柄に分かれ、交互に物色されているかのようである。
  • 市場では6/11の株式市場急落の要因として、新型コロナウイルス感染の「第2波」や景気の先行きへの懸念が高まったことが挙げられている。その中でも、6/10のFOMC後の声明や議長記者会見、経済予測が債券利回りに係るイールドカーブのフラット化を通じて外為市場や株式市場に大きな影響を与えたものと考えられる。好調な雇用統計が発表された6/5には10年債と2年債の利回り差(スプレッド)が71ベーシスポイント(bp)と2018/2以来の高水準となり、景気回復期待が株価上昇と同時に外為市場におけるドル高をもたらしていた。これに対し、FOMC後に発表された経済予測では、国内総生産が今年6.5%縮小するとされたほか、失業率が年末時点で9.3%になるとの見通しが示された。FOMC出席メンバーの経済見通しでも来年末の失業率が6.5%とされ、コロナ禍以前の水準(3-4%台)まで当面は戻らないとして景気の早期回復への期待がしぼみ、10年債利回りの低下に伴い10年債と2年債のスプレッドが57bpに縮小した。
  • 債券投資の観点では好調な雇用統計が早期復帰を前提とした一時解雇の反動増という特殊要因に影響された面が大きいものとして、イールド・スプレッドの縮小を狙ったポジション(長期債買い、短期債売り)を取ることで利益が得られる局面だったと言える。リスクオンが加速する局面ではイールド・スプレッド拡大と「経済再開期待関連買い、巣ごもり・デジタル化関連売り」、逆にリスクオンが一服する局面ではイールド・スプレッド縮小と「経済再開期待関連売り、巣ごもり・デジタル化関連買い」が両立しやすい面があろう。6/16-17にはパウエルFRB議長の議会証言が控えている。イールドカーブの動きに要注意だろう。(笹木)

S&P500 業種別および NY ダウ構成銘柄の騰落率(6/12 現在)


主な企業決算の予定
●6月16日(火): オラクルレナー、H&Rブロック
●6月18日(木): クローガー
●6月19日(金): カーニバル、カーマックス

主要イベントの予定
●6 月 16 日(火)
パウエル FRB 議長が半年に1度の議会証言(上院銀行委員会)
米小売売上高(5 月)鉱工業生産(5 月)、企業在庫(4 月)、NAHB 住宅市場指数(6 月)

●6 月 17 日(水)
パウエル FRB 議長が半年に1度の議会証言(下院金融委員会)、クリーブランド
連銀総裁が講演(オンライン)
・米住宅着工件数(5 月)

●6 月 18 日(木)
・クリーブランド連銀総裁が講演(オンライン)

●6 月 19 日(金)
・ボストン連銀総裁がオンラインセミナーに参加・質疑に応答、パウエル FRB 議長とクリーブランド連銀総裁がビデオ会議に参加、米大統領の選挙集会再開(オクラホマ州タルサ皮切り)
・米経常収支(1Q)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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本レポートの作成者:公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト 笹木和弘

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