リスク選好回帰のタイミングを探る1か月

トレンド転換を探る1か月

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原油価格の急落にギリシャリスク、極めつけは予期せぬスイスショックの急襲により、年明けからグローバル株式は不安定な状況に陥り、米独利回りは低下の一途を辿り、昨年を通して下落トレンドが続いたNY金価格は一時1300ドルをトライする展開となりました。そして外為市場ではクロス円を中心に円買い圧力が強まった一方、米ドルの総合的なトレンドを示すドルインデックスは2005年高値水準の上昇ブレイクが明確化しています。
これらのマーケット動向が示唆していることを端的に表すならば「リスクセンチメントの悪化」ですが、2月はこのセンチメントが改善する1か月になると想定しています。

そのように考える理由は2つあります。


理由①:米株の調整パターン

ひとつは米国株式の調整パターンです。過去2年間(2013 / 2014年)におけるダウ平均の調整パターンを確認すると、長くて1か月前後の調整を繰り返しながら、上昇トレンドを維持していることがわかります。上述したリスク要因で再びアメリカの株式市場が不安定化し始めたのが1月上旬。「1か月調整パターン」で考えた場合、早くて2月上旬、遅くとも中旬には米株がリスク選好トレンドへ回帰することになります。リスク選好の先導役である米国株式が反発基調を強めれば、グローバル株式市場も安定化するでしょう。
尚、グローバル株式市場の安定化は、ドル円の円安回帰のタイミングを見極める上で最も重要なファクターです。何故なら日欧の緩和強化により、相対的に利回り妙味が高い米債券市場にマネーがシフトしてくることが想定されるからです。これは、当然米金利の上昇圧力を後退させる要因となります。米金利の上昇はドル高維持の重要なファクターですが、短期的にそれに期待できない上、ドル円の円安回帰の鍵は「株高=円売り」次第といって良いでしょう。


理由②:ギリシャリスクの後退

もうひとつの理由はギリシャリスクの後退です。1月25日に実施されたギリシャの総選挙では、財政緊縮政策に反対する最大野党の急進左翼進歩連合(Syriza)が勝利しました。しかし26日の欧州マーケットは意外にも「株高・債券高・ユーロ買い」となりました。この反応が示唆するところは何か?それは、結局のところギリシャは現実的な政策を選択せざるを得ない、ということをマーケットが見抜いているということでしょう。何故なら、国際債権団(EU、ECB、IMF)からの金融支援は今年2月末までの合意しかなされていません。総額2400億ユーロ(32兆円)という巨額の金融支援を3月以降もギリシャが受け続けるためには、緊縮政策の実行が絶対条件となります。欧州各国の民間投資家が1070億ユーロ(約14兆円)相当の対ギリシャ債権を放棄して尚、これだけ巨額の金融支援を受けなければ生き残れないのが現実である以上、ギリシャにとって2月は生き残りをかけた1か月となるでしょう。紆余曲折の末(例えばギリシャの基礎的財政収支が黒字化していることを理由に国際債権団との交渉がもつれることはあっても)、結局のところギリシャは現実路線を選択する以外に道はないのです。


<リスクシナリオは米国にあり>

マーケットと対峙する以上、常にリスクシナリオを用意しておくことは重要です。上記のリスク選好回帰のシナリオが崩れるとすれば、その原因は米国外ではなく米国内にあるでしょう。
1月27-28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でイエレンFRBは、今後の米金融政策の方向性は指標データ次第-”Data dependency”のスタンスを鮮明にしてきました。よって、マーケットは今後発表される指標データの内容を検証し、イエレンFRBの利上げ時期を探ってくるでしょう。
さて、肝心の指標データですが、1月30日に発表された10-12月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率で+2.6%と前期の+5.0%から減速しました。また、2月2日に発表されたISM製造業指数も53.5と、約1年ぶりの低水準となりました。6日に発表される雇用統計(1月分)まで冴えない内容となれば、リスク選好の土台であり続けた米国のファンダメンタルズ改善期待が一気に後退すると同時に、6月利上げ観測すら後退しかねないでしょう。
この場合、マーケットはどのような反応を示すのか?
まず、米ファンダメンタルズ改善期待の後退を背景に米国株式で「1か月調整パターン」が崩れ、それに伴いグローバル株式市場での不安定な状況も続くでしょう。
世界の株式市場で下落トレンドが鮮明となれば、安全資産への投資妙味から米独債が買われるでしょう(金利は低下)。
外為市場ではリスクを回避する動きから、円が最強通貨になることが想定されます。特にトライアングルの下限を下方ブレイクしているドル円の動向は要注意です(下図チャートを参照)。「株安=円買い/米金利低下=ドル売り」により、攻防分岐とされる115.50レベル(2014年高値121.86からの38.20%戻し)をも下方ブレイクする展開となれば、50.0%戻し113.50レベルを視野に下落幅が拡大する可能性も高まります。クロス円では、中銀の緩和強化の影響からユーロ円や豪ドル円がドル円とともに円高のけん引役となる可能性があるでしょう。

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