「年内120円到達」の条件

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今年も早いもので残り1か月となりました。今年1年ありがとうございました。
そして2015年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

さて、先月の市況コメントで筆者は、ドル円120円到達は来年の秋頃になると指摘しました。しかしその後、多くの市場関係者の思惑を超えるスピードで円安が進行したことで、「年内120円到達」の可能性が高まってきました。
そこで今回の市況コメントでは、「年内120円到達」を達成するためにクリアすべき条件に注目したいと思います。
 


<条件其の1>

ドル円が「年内120円到達」のためにクリアすべき条件は2つあります。
ひとつは、グローバル株式市場が現在の株高トレンドを維持することです。株高継続となれば、投資家のリスク許容度が拡大することで、外為市場では流動性と低金利の面から円が資金調達通貨として選好され、クロス円を中心に円安トレンドは継続するでしょう。

では、株高維持の鍵を握る12月の重要なイベントは何か?
それは4日(木)の欧州中央銀行(ECB)理事会となるでしょう。この会合でドラギ総裁やコンスタンシオ副総裁が指摘している国債購入、つまり米連邦準備理事会(FRB)が導入してきた量的緩和(QE)に踏み切る決断を下すならば、グローバル株式市場は、ECBが日銀とともに新たな緩和供給源の役割を果たすと考えるでしょう。そのような思惑の台頭は、イエレンFRBによる引締めショックを相殺するでしょう。その結果、グローバル株式市場は現在のリスク選好トレンドを継続し、株高維持は上述したように持続的な円売り圧力となってクロス円に波及するでしょう。



<条件其の2>

2つめの条件は、米金利の上昇です。米金利の動向はドル相場を動かす重要ファクターですが、直近は日欧の緩和による米金利の利回り妙味(相対的に米債への投資妙味が増していること)を背景に現在の株高に追随できず、低空飛行が続いています。 米金利の低空飛行はドル売り圧力を強めます。よって、<条件其の1>をクリアしても、<条件其の2>でドル売り圧力が強まるならば、円売り圧力が相殺されることでドル円の上値は120円を目前にして重くなる可能性が高いでしょう。実際、「株高=円売り」のみでは120円到達が困難であることは、直近の相場が示唆しています。
では、米金利の反発を促す重要な材料は何か?
それは経済指標以外ありません。特に12月第1週目に発表される経済指標は、年内最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)への影響も考えるならば、米金利の動向を左右する重要なファクターとなるでしょう。
国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)が2015年の経済成長を相次いで下方修正するし、世界経済に対する先行き不透明感が強まっています。世界経済の減速を受けて尚、雇用統計をはじめとした各種指標データがファンダメンタルズ改善傾向を示すならば、マーケットは「フラミンゴ経済(米国一国がフラミンゴの細い足となり世界経済を支える経済構造)」の維持を確信し、米株は高値圏を維持するでしょう。<条件其の1>がクリアされれば、新たな緩和マネーの流入期待により連日最高値を更新する状況も想定されます。「ファンダメンタルズ改善+株高維持」となれば、さすがに米金利への低下圧力も後退するでしょう。同時にイエレンFRBの金融正常化に向けたプロセスがさらに加速することがマーケットで意識されることで、米金利(特に米金融政策の方向性を反映しやすい2年債利回り)は緩やかな上昇トレンドを辿るでしょう。
一方、<条件其の2>をクリアに失敗することは、「フラミンゴ」の細い脚が折れることを意味します。そのような状況となれば、<条件其の1>をクリアしても株高維持は困難でしょう。グローバル株式市場が崩れれば、米金利への低下圧力がさらに増すことでドル円をはじめとした円相場は円高の逆回転リスクに晒されるでしょう。
よって、ドル円の「年内120円到達」の条件を達成するためには、<条件其の1>と<条件其の2>を同時にクリアする必要があるわけです。

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