マンスリー市況コメント 米国株式市場が直面する「依存症」

直近のグローバル市場では、イエレンFRBによる年内利上げ観測が再び意識されています。コメント執筆時点で、FF金利先物市場が示す今年12月までの利上げ確率は約70.00%。616-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、この確率がさらに上昇した場合、米国株式市場の動向に神経を削る日々が続くことになりそうです。

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「緩和マネー依存症」を克服できない米国株式市場

4月中旬以降、独連邦債のポジション調整(=独金利の上昇)や5月22日のイエレンFRB議長による「年内利上げ」発言を受け、金融政策の方向性を織り込む米2年債利回りは、昨年12月の水準(0.75%レベル)まで反発してきました。その過程で米株は徐々に上値を切り下げる展開となっています。

このような相場環境下の中、6月5日に発表された5月の米雇用統計は総じて良好な内容となりましたが、肝心の米国マーケットは「株安/金利上昇」で反応。素直に考えれば、労働市場の改善はリスク選好要因です。ファンダメンタルズの改善なくして労働市場の改善はあり得ないからです(労働市場の改善は実体経済の回復に遅れて反応を示すため)。このため通常の相場環境であれば、雇用統計後の米国マーケットではリスク選好のセオリーである「株高/金利上昇」の共存関係が成り立つはずでした。
しかし、実際の反応は上述の通り。良好な雇用統計に「株安」で反応したこと、ダウ平均とS&P500の高値更新がイエレンFRB議長の「年内利上げ」発言前であったこと、その後米株の主要三市場が揃って上値を切り下げる展開となっている事実は、米国株式市場における「緩和マネー依存症」がいかに深刻であるかを物語っています。



注目はFOMC後の米国株式市場

今月最大の注目イベントは、16-17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)です。声明文の冒頭で米国経済の回復に自信を示すと同時に、会合後の記者会見でイエレンFRB議長が具体的な利上げ時期(早ければ9月利上げ)に言及した場合、「緩和マネー依存症」を未だ克服できない米国株式市場では年内利上げ「懸念」が意識される可能性が高いと思われます。中国の景気減速懸念やギリシャリスクがくすぶり続けているタイミングで、リスク選好の先導役である米国株式市場がFOMC後に失速すれば、グローバル株式市場全体が不安定化する可能性が高まるでしょう。
そして外為市場では、米金利の上昇リスクが意識されることでファンダメンタルズ面で脆弱性を内包する新興国の通貨を中心にリスク回避のドル高圧力が強まるでしょう。

円相場では、「ドル円上昇/クロス円下落」の展開が想定されます。しかし、米金利の上昇リスクを背景にグローバル株式市場が総崩れとなれば、ドル円も下値を模索する展開が想定されます。リスク回避の波が巡り巡って米国債券市場への資金シフトを促し、年内利上げ「期待」が皮肉にも米金利の上昇圧力を相殺してしまうからです。実際、6月8日はそのような展開(=欧米株安→米金利低下→ドル売り→ドル円下落)となりました。
6月は、FOMCで金融政策の大転換の時期を探ると同時に、米国株式市場に神経を削る日々が続くでしょう。





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