4月は円高を警戒

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3月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、118.30台まで下落していたドル円が120円台へ再上昇する等、本稿執筆時点でドル円に目立った円高トレンドは発生していません。しかし、以下で述べる2つの要因を背景に、今月は円高リスクを警戒する1ヵ月となる可能性があります。


<円高要因①:ギリシャリスクを発端としたドル高>

まず注目すべきは、再びユーロ相場の圧迫要因になりつつあるギリシャリスクです。2月20日、ギリシャと欧州連合(EU)との間でギリシャ向け金融支援の4 ヵ月間延長で合意に達したにもかかわらず、なぜギリシャの「4月危機」が意識されるのか?
それは、金融支援継続の条件である改革案をギリシャサイドが未だ提示できず(EUサイドを納得させることができず)、且つ債務返済期限/償還等が目前に迫っているからです。3月19日のEUミニ・サミットでチプラス首相は、2月20日の合意事項を遂行すると改めて表明したにもかかわらず、EUサイドとの溝が一向に埋まらない事態を憂慮しています。また、ギリシャ国外からはギリシャのユーロ圏離脱の可能性(3/24 オズボーン英財務相)が公然と語られ、事実上の通貨ドラクマ復活案まで報道される事態(3/27 ロイター通信)となっています。
一方、ギリシャ国内では急速な預金流出が発生しています。昨年12月から今年2月までに170億ユーロが流出し、2月以降も100億ユーロが流出し続けているという報道があります(ギリシャ日刊紙「イ・カシメリニ」)。4月15日の欧州中央銀行(ECB)理事会後もギリシャ支援の交渉に進展がなければ、ギリシャリスクが欧州マーケットを越えて波及する可能性は十分に考えらえます。
ギリシャリスクと円高の関係を考える上で注視すべきポイントは、クロス円にあります。
何故か?理由は2つあります。
ひとつは、欧州株式を震源地とした株安です。欧州中央銀行(ECB)の緩和強化以降、イージーマネーの流入期待を背景に上昇トレンドが継続してきた欧州株式では、調整が入りやすい局面にあります。ギリシャリスクを発端に欧州株式が急落すれば、その余波が米国や日本のマーケットにも波及し、外為市場での円買い圧力を強めるでしょう。
もうひとつは、ドルストレートでのドル高です。ユーロドルを震源地としたリスク回避のドル高圧力がリスクセンチメントに敏感な資源国通貨や高金利通貨にも波及した場合、クロス円での下落圧力が強まるからです。この下落圧力を相殺する要因は株高しかありません。しかし、現在のドル高は米国株式にとってネガティブ要因として意識されています。ギリシャリスクを背景とした欧州株安とドル高リスクを背景とした米株安が合わされば、グローバル株式市場が不安定化するでしょう。その結果、クロス円を中心に円高圧力が強まるでしょう。

ギリシャが直面する資金問題



<円高要因②:米国株式の調整を発端としたドル買い圧力の後退>

もうひとつの円高要因として注視すべきは、米国株式の動向でしょう。何故か?
2014年以降、四半期決算シーズンに絡んで調整が入るパターンが確認できるからです(例外は原油急落を主因とした2014年12月上旬の調整局面)。
今後、米四半期決算の発表が本格化します。米国の早期利上げ観測や上述したドル高懸念を受け、3月上旬より再び不安定化してきた米国株式市場(チャート青ゾーン参照)を上記の調整パターンが直撃すれば、投資家のリスクセンチメントは一気に悪化するでしょう。ただでさえ商品市場が低迷(本稿執筆時点で原油相場=WTI5月限は1バレル=50ドルを挟み上値の重い状況が継続し、中国/青島デリバリーの鉄鉱石価格は約6年ぶりの安値圏に値崩れ)しているタイミングで、リスク選好の先導役である米国株式までが崩れる事態となれば、資源輸出の依存度が高い新興国の株式市場(ブラジル、チリ、マレーシア、ロシア、南アフリカ等)を直撃し、その余波が新興国市場全体に波及するでしょう。米国/新興国株式が総崩れとなれば、緩和マネー流入期待によりブル相場となっている日欧株式にも利益確定売り圧力が強まり、世界的な株安連鎖の状況に陥る可能性があります。
「円高要因②」は「円高要因①」とは違い、ドル円も含めた円相場全体で円高圧力を強める要因となるでしょう。何故なら、世界的な株安は安全資産の逃避需要を高めるだけでなく、流動性と利回りの面で投資妙味のある米債券市場への資金シフトを促す要因ともなるからです。このため(米金利低下のため)、「円高要因①」の状況下ではドル高圧力が期待できません。また、株安による円高圧力も加わることで、ドル円は122円台上昇の起点となった118 or 117円台を視野に下落することが想定されます。112.03-115.86のリトレースメント76.40%戻し(117.31)の攻防次第では、116円台へ攻防シフトする可能性もあるでしょう。
4月は円高に警戒すべき1ヵ月となりそうです。

ダウ平均チャート(2014年~)

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