5月中にドル高へ回帰する材料とは

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4月以降続く冴えない米指標データを背景に、イエレンFRBによる利上げ時期は6月から9月へとシフトしています。しかし、4月以降に発表された冴えない指標データは9月利上げ観測すら後退させ、結果外為市場ではドル売り圧力が強まっています。このような状況の中、5月のドル高回帰への材料とは?

4月分の米指標データ>

米利上げに関するテーマは、6月利上げから9月利上げにシフトしています。今後は、9月利上げ期待をつなぎとめられるかどうかが、ドル相場のトレンドを左右するでしょう。

米9月利上げの思惑を最も左右するのが、4月分の米指標データです。4月29日に発表された2015年1-3月期の米実質国内総生産(GDP、速報値)は年率換算で0.2%増と、2.2%増だった2014年10-12月期から大幅に減速しました。しかし、その後に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、1-3月期の成長減速は特殊要因(=悪天候と湾岸ストライキ)でもたらされた一時的な現象と指摘。早期の金融正常化を望むイエレンFRB とそれを許さない米指標データ、という構図が鮮明となってきました。ドル安で反応している点を鑑みるに、外為市場では後者の方が意識されていますが、今後の金融政策に関しては「Data Dependency-指標データ次第」のスタンスをイエレンFRBが明確にしている以上、この反応は至極当然と言えるでしょう。

しかし、4月分の指標データで良好な内容が続けば、1-3月期の景気急減速がイエレンFRBの指摘している通り特殊要因であったことが証明され、米9月利上げ期待がつなぎとめられるでしょう。また、上記の米FOMCでは6月利上げの可能性を残す内容となっています。マーケットの関心は9月利上げにシフトしているものの、イエレンFRB議長がその可能性を否定していない以上、雇用統計をはじめとした4月分の米指標データが総じて市場予想を上回れば、6月16-17日のFOMCへの警戒感が強まることで、「米金利上昇→ドル高回帰」という展開が想定されます。

<資源価格と中国経済の動向>

3月中旬以降のドルインデックスとNY原油先物相場の動向を確認すると、見事に反比例して推移していることがわかります。これは、1バレル=50ドル台のレベルで底入れ期待が強まったNY原油先物相場の動向を好感し資源国通貨全般(AUD、CAD、GBP、NOK、RUB等)への投資妙味が増したことで、相対的にUSDへの魅力が低下したためです。米利上げ時期への不透明感が増す中(=米金利の低空飛行が続く中)、このまま原油相場の反発基調が継続すればグローバル株式もその上昇に追随することで、ドル安トレンドを加速させるでしょう。
しかし逆の見方をすれば、原油先物相場が再び不安定化するならば、それは資源国通貨が対ドルで再び下落することを意味します。

原油先物相場が反落する要因として注視すべきは、やはり中国経済の動向でしょう。同国の今年1-3月期の実質経済成長率は7.0%に鈍化しました。また、先月13日の同国貿易統計では輸入が12.7%減と、引き続き内需の弱さを反映する結果となりました。中国人民銀行(中央銀行)は19日、預金準備率(市中銀行が預金総額のうち中央銀行へ義務的に預け入れる額の比率)を19.5%から18.5%に引き下げると発表し、景気減速に歯止めを欠ける姿勢を強調してきました。しかし、マーケットでは中国リスクが意識され続けています。よって、5月の同国経済指標が総じて下振れた場合、「内需低迷→資源需要縮小」を背景に、NY原油先物相場をはじめとしたエネルギー相場で再び下落圧力が高まるでしょう。また、鉄鉱石や石炭となった資源価格も連動その動きに連動することで、資源国通貨全般に売り圧力が強まる可能性があるでしょう。その結果、相対的にドル高圧力が強まることが想定されます。

<欧州通貨売りリスク>

上記のケース以外でドル高回帰となる材料は何か?それは欧州通貨の下落でしょう。その状況を誘発するリスク要因として注視すべき2つのイベントあります。

ひとつはギリシャの金融支援で大詰めを迎える5月11日のEU財務相会合です。ギリシャは、国際通貨基金(IMF)への7億7000万ユーロ相当の支払い問題に直面しています。期限は5月12日。チプラス政権は先月20日、資金枯渇を回避するため地方公共団体の手元資金を中央銀行に移管させる政令を出しました。しかし、その資金は上記のIMFに対する支払いで枯渇する可能性が指摘されています。よって、5月11日のEU財務相会合で具体的な合意がEUとギリシャ間でなされない限り、マーケットは再び「ギリシャリスク=ユーロ売り」を意識せざるを得ない状況になります。ドルインデックスの構成比率で約57%を占めるユーロがギリシャリスクを背景に急落した場合(ただでさえユーロは欧州中央銀行による緩和強化により売り圧力が強まり易い局面にある)、ドル相場の上昇要因となるでしょう。

もうひとつは、5月7日に予定されている英国の総選挙です。現時点では、2大政党である与党保守党 / 野党労働党ともに単独で過半数を取ることは難しいとみられています。どのような結果となってもハング・パーラメント(一つの政党が単独過半数を確保できない)状況が想定されますが、連立を組む政党がどれもEUもしくは英連邦からの独立を支持している政党である点が気がかりです。特にスコットランドを票田としている労働党からスコットランドの独立を目指すスコットランド独立党(SNP)へ支持率がシフトしているとの報道があります。このため総選挙前の報道や選挙結果で英国政治のリスクが台頭すれば、昨年9月の独立投票時と同じようにポンド売り圧力が強まるでしょう。上述した資源価格がタイミング悪く下落した場合はさらにポンド売り圧力が強まることで、GBP/USDは再び1.45トライの展開となってもおかしくないでしょう。

また、ユーロ&ポンド売り圧力が同じタイミングで強まれば、欧州通貨の下落を震源地としたリスク回避のドル高圧力が外為市場全体へ波及する可能性もあるでしょう。

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