消費増税と2つのシナリオ

【シナリオ1】 デフレ不況再び

再びデフレ不況へと陥り「円高・株安」となるシナリオです。

景気回復が道半ばの中、今月より消費税が5%から8%に引き上げられます。駆け込み需要の反動で経済の落ち込みが予想されることから、政府は総額5兆4654億円の補正予算を2月上旬に成立させました。しかしその多くを公共事業に割り当てる等、自民党政権が行ってきた従来のバラマキ政策を踏襲した内容となっており、日本経済の持続的な成長に対して不透明感が拭えません。
このため、消費増税の影響により、国内景気の回復が阻害される可能性があります。実際、1997年に消費税を3%から5%へ引き上げた際、同年4-6月期実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比3.7%減と、増税前の駆け込み需要の反動でマイナス成長へと陥ってしまいました。
さらにその後、有効な経済対策を打ち出すことが出来なかった日本経済は、海外経済の混乱(アジア通貨危機、ロシア財政危機、リーマンショック、サブプライムローン問題に欧州債務危機等)もあり、長期に渡る不況、いわゆる「失われた20年」を経験することになりました。

2014年もグローバル金融市場にはリスク要因がくすぶっています。実際、今年に入り新興国リスクがマーケットを揺さぶっています。このような状況の中、4月以降、国内で再びデフレ圧力が強まれば、企業の実質債務負担が増加します。負担が増えれば、企業は先行き不透明感から将来の設備投資を控えるでしょう。設備投資が増加しなければ、企業活動は活性化しません。企業活動が活性化しなければ、雇用の増加は見込めません。雇用が増加しなければ所得が伸びず消費も拡大しません。その結果、日本経済が「失われた20年」の状態へ逆戻りするリスクをマーケットは意識するでしょう。また、デフレはその国の通貨を増価させます。よって、円相場は再び円高方向へ振れる可能性が高まるでしょう。国内のデフレ懸念に加えて円高となれば、国内株式には売り圧力が強まるでしょう。

【シナリオ2】「第2ロケットエンジン点火」+「成長戦略(=構造改革)」=株高・円安

もうひとつのシナリオは、日本経済の復活が意識され「株高・円安」が続くシナリオです。

消費増税後の経済の落ち込みに関しては、政府・日銀は当然想定しています。よって、黒田日銀は「追加緩和」という名の第2ロケットエンジンを点火させるでしょう。その結果、アベノミクスに対する海外投資家の期待感を繋ぎ止めることに成功し、株高・円安トレンドが再び強まる可能性があります。

しかしそのような展開となっても、追加緩和だけでこれまでのような「株高・円安」を持続させることは不可能でしょう。また、これはもろ刃の剣でもあります。「日本の財政は大丈夫か?」という疑念がマーケットで強まる可能性があるからです。

そこで切羽詰まった安倍政権がいよいよ重い腰を上げ、海外投資家の期待を必死で繋ぎ止めるために、既得権益を打破する様々な成長戦略(=構造改革)を打ち出す可能性が出てきます。それは、冒頭で述べたようなバラマキ主体の政策ではなく、痛みは伴うけれど日本の潜在成長率を高める政策です。第2ロケットエンジン点火に加えて、そのような政策を打ち出し、海外投資家に「日本経済はデフレから脱却し復活する!」と思わせることに成功すれば、消費増税のショックを乗り越え、国内株式がさらに上昇する可能性が高まるでしょう。そして、株高を背景に円安圧力も強まると思われます。

しかし、成長戦略(=構造改革)無き株高・円安には要注意です。追加緩和のみでは、実体経済を反映しないマネーゲームとなる可能性が高いからです。特に成長戦略(=構造改革)無き円安に関しては、国民生活をかえって圧迫する可能性が高いと思われます。エネルギー問題を抱え、且つ安い人件費を求め海外生産が加速する等、日本の貿易構造が変化する中では、円安のメリットよりも食品価格や光熱費の上昇というデメリットの方が大きくなる可能性が高いからです。

2014年も様々なリスク要因が意識されるものの、エネルギー革命を背景に米国経済が世界経済のけん引役になる1年と筆者は考えています。その米国経済復活に加えて、日本が成長戦略(=構造改革)を打ち出せば、そう遠くない将来、日本経済に春が訪れるかも知れません。

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※このレポートは、2014年3月31日(月)現在の相場状況と情報をもとに作成されております。

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