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米国の金融政策とドル円相場の焦点

6月14-15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。英国のEU離脱リスクが意識される中、今回の焦点は?ドル円への影響は?マーケットフォーカスをご覧ください。

【要約】

  • 6月23日(木)に英国ではEU離脱の是非を問う国民投票が開催される。万が一、英国がEU離脱となればその影響はユーロ圏へと波及しよう。よって、「6月の利上げ」はもともと非現実的。

  • タカ派のFOMC議事録及びイエレン講演(5/27)を考えた場合、焦点は「7月利上げ」のシグナルとなろう。

  • ドル円は株式動向によりトレンドが決定されよう。

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<「6月の利上げ」はもともと非現実的>

6月3日(金)に発表された非農業部門雇用者数変化(5月)は、3.8万人増(市場予想:16万人)と、衝撃的な内容となった。これをもってイエレンFRBによる「6月利上げ」は完全に後退したとの思惑が支配的となっている。しかし、金融政策の方向性は単月の指標データ(点)ではなく、継続的(線)且つ包括的な内容(面)で決定される。よって、今回の冴えない雇用統計の影響がイエレンFRBの意思決定に与える影響はないと考えられる。
今回の会合でイエレンFRBの意識決定に影響を与えるとすれば、それは海外情勢、具体的には英国で6月23日(木)に実施予定の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票である。万が一、英国がEU離脱となれば、グローバル市場はユーロ圏の政治及び経済リスクまでを意識する事態となろう。そのリスクがくすぶるタイミングでイエレンFRBが利上げを決定出来るはずもなく、それ故冒頭で述べた雇用統計の結果にかかわらず、「6月利上げ」はもともと非現実的なシナリオだ。

英国のEU離脱に関する詳細はこちら
※リンク先は弊社Brexit(ブレグジット)ページへ


<焦点は「7月の利上げ」シグナル>

では、今回のFOMCの焦点はどこに?

筆者は「7月の利上げ」シグナルを発信してくるかどうか、この点が焦点になると考えている。
4月のFOMC声明文は、冒頭に米経済の先行き不透明感を示唆する文言を挿入したことで、ハト派寄りの内容と市場で受け止められた。しかし、5月18日(水)に公表された議事録では「大半の参加者が早期利上げの可能性を指摘」していたことが判明。声明文と議事録の内容がこうまで違うケース(ギャップ)は珍しい。声明文がハト派となった点については憶測(=4月後半の時点ではイエレンFRBも世界経済の先行きを確認する必要があるとの判断が働いたという筆者の憶測)の域を出ない。だが、実際の議事進行に合わせて作成されるのが議事録の方である点を考えるならば、より重要視すべきは後者(議事録)であろう。

イエレンFRB議長はハーバード大学の講演(5/27)で「今後数カ月に利上げすることがおそらく適切となる」と述べ、早期利上げを示唆した。一方、6月6日(月)の講演では条件付き利上げを示唆しハーバードの講演からトーンを落としたものの、利上げスタンス自体は維持している。
新興国リスクに日欧の景気減速懸念と様々なリスク要因がくすぶり続ける中、ハト派のイエレン議長が利上げスタンスに固執してきた理由は何か?それは金融政策の正常化と大統領選挙が要因と考えられる。現職のオバマ大領領はイエレンFRBを高く評価している。この点は、4月11日(月)に行われた「オバマ・イエレン会談」の場でオバマ大統領がイエレン議長の仕事ぶりに「満足している」と語ったことでも明白。理解あるオバマ大統領が現職であるうちに少しでも金融政策の正常化を推し進めておかないと、次の大統領が利上げ反対派の場合、正常化へのプロセスが大幅に遅れる可能性が高まる。それは次の危機が発生した時に金融政策で身動きが取れなくなるリスクが高まることを意味する。このような危機感がイエレンFRB内のコンセンサスとして確立されているが故に、上記のギャップが発生したと考えられる。


<ドル円のチャートポイント>

イエレンFRBが「7月の利上げ」シグナルを発信してきた場合、外為市場ではドル高圧力が再び強り、ドルストレート全般は素直にドル高で反応しよう。
だが、ドル円は下落リスクを警戒したい。理由は株式市場にある。約10年間のドル円と日経平均の動向を比較すると、2006年以降は正の相関関係が発生し、2013年からはその関係が不気味な程一致している(比較チャート①参照)。その日経平均は海外株式にトレンドが左右される傾向にあるが、今年3月中旬以降は「ドル高=株安」、「ドル安=株高」の構図が鮮明となっている(比較チャート②)。3月中旬と言えば、イエレンFRBがハト派スタンスを鮮明にしたことでそれまで想定されていた年4回の利上げ観測が脆くも崩れ去った時である。それ以降、イエレンFRBの一挙手一投足にドル相場とグローバル株式が上下に振れやすい状況となっていることを比較チャート②は示唆している。よって、「7月利上げ」シグナルが発信された場合、再び「ドル高=株安」の展開となることが想定される。そのような展開となれば、ドル円は株式下落の方に敏感に反応し下値トライの展開となることが想定される。

また、日銀金融政策決定会合の動向もドル円の下落を誘発する可能性があろう。マイナス金利の影響を見極めるために追加緩和を見送れば、市場は円買いで反応する可能性が高い。逆に追加緩和に踏み入った場合、ファースト・リアクションは円売りで反応しよう。しかし、新たな国内需要創出のためのアベノミクス第3の矢「成長戦略(=構造改革)」は遅々として進まず、且つ10年債利回りが過去最低を更新し続ける状況下でさらに金融緩和に踏み切れば、1月のマイナス金利導入後のように金融緩和のリスク(さらなる構造改革の遅れ / 銀行セクターの収益圧迫懸念)がすぐに意識されることで、「株式下落→円買い」というパターンに陥る展開が想定される。

最後にドル円のチャートポイントだが、上値は短期レジスタンスラインが焦点となろう。その下の水準で推移している日足の一目/雲の上限も重要レジスタンスポイントとして想定しておきたい。
一方、下値は目先、105円台の維持が焦点となろう。105円ブレイクとなれば介入観測とのせめぎ合い相場となろう。105円以下で注視すべきサポートポイントは、103.20と101.00。前者は輸出企業の採算レート(内閣府調査)であり、後者は2014年2月から7月にかけてドル円をサポートし続けた経緯がある。105円を下方ブレイクした後、米国サイドが速やかに円売り介入に対してけん制してきた場合、103.20までの下落ならあり得るだろう。

 

【比較チャート①】緑ライン:ドル円 赤ライン:日経平均

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出所:Thomson Reuters Eikon


【比較チャート②】緑ライン:ドルインデックス 青ライン:世界株式(MSCI)

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出所:Thomson Reuters Eikon / MSCI


【ドル円の上値ポイント(日足チャート)】

marketfocus_2016-june_03

出所:ProRealTime Chart


【ドル円の下値ポイント(週足チャート)】

marketfocus_2016-june_04

出所:ProRealTime Chart

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