USD/JPY、122円維持は米指標データ次第

アナリストの視点-USD/JPY、今後は125円が上限として意識される可能性も

ディーラー

10日の海外外為市場でのドル相場は売り買いが交錯する展開に。黒田発言の余波を受け、NYタイムのUSD/JPYは123円割れの状況が継続。GBP/USDは良好な英指標データが好感され、先月22日以来となる1.5550レベルまで急伸。また、EUR/USDは独金利が節目の1.00%台に到達したこともあり、1.13前半レベルを堅持する等ドル安優勢の展開となった。
一方、日本時間早朝にNZ中銀が予想外の利下げ(3.50%→3.25%)を実施したことから(声明では追加利下げの必要性について言及)、NYタイム終盤では対オセアニア通貨でドル高優勢の展開となった。クロス円はドルストレートの動向に連動する状況が継続したまま、本日の東京時間を迎えている。

日銀の黒田東彦総裁は10日、「実質実効為替レート」ベースでのさらなる円安に否定的な見解を示した。将来のインフレ率上昇を目的に掲げ金融政策を運営している黒田総裁としては当然の発言をしたまでだが、肝心のマーケットは円買いで反応。海外勢には「追加緩和の否定」として曲解された可能性もあるが、来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることも考えるならば、リスクイベント前のポジション調整の材料として利用された可能性が高い。日米金融政策のコントラストが今後鮮明になっていくことを考えるならば、今回の黒田発言の影響は一過性と想定している。

ただ、昨日の黒田発言に加え、先月の7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では麻生太郎財務・金融相が直近の円相場の動きについて「荒い」と発言。中国の台頭を意識し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が今年に入って加速している(米議会では大統領貿易促進権限法案が上院で可決済み。残るは下院での審議のみの状況となっている)ため、このタイミングでの過度の円安は望ましくないとの懸念(TPP反対派を勢いづかせる懸念)が日本サイドにあると思われるが、日銀と財務省のトップが短期間に揃って、マーケットで「円安けん制」と受け止められる発言をしてきことで、目先、日本サイドが許容できる円安水準は125円レベルまでという思惑が今後マーケットで意識される可能性がある点には要注意。

本日の焦点USD/JPY、目先は122円維持が焦点に

昨日のUSD/JPYは、興味深いことに昨年12月以降レジスタンスとして意識されてきた122円レベル(3月10日高値122.03)を維持した。ネックラインと想定されるこのレベルは、今年高安の38.20%戻しのレベルでもありチャート上の重要サポートポイント。黒田発言でも破ることのできなかったこのレベルを下方ブレイクする材料は、やはり米年内利上げ観測の後退だろう。その観測を左右する材料として、本日は米小売売上高(5月)と新規失業保険申請件数に注視したい。雇用統計に続き良好な内容となれば、米金利の上昇に伴うドルのショートカバー圧力が強まろう。USD/JPYは上記のサポートポイントを維持する可能性が高まろう。

EUR/USDは引き続き独金利の動向に注目したい。独10年債利回りは昨日、節目の1.00%を突破する局面がみられた。この上昇トレンドが継続した場合、ユーロ相場のサポート要因となろう。ただ、マーケットの主要テーマが米金融政策にある以上、上記の米指標データが総じて市場予想を上回った場合は、米欧金融政策のコントラストが意識されドル高優勢の展開が想定される。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 125.86:6/5高値 125.00:レジスタンスポイント
サポート 123.70:サポートポイント 123.00:サポートポイント

上値の焦点は125円台の再上昇で変わらず。下値のそれは123.70レベルを維持できるかどうかだろう。このレベルには、昨日同様ビッドが観測されている。
123.70以下の攻防へシフトした場合は、ビッドとストップが観測されている123.50、同じくビッドが観測されている123.00が次のターゲットとして浮上しよう。
一方、オファーは124.80及び125.00にそれぞれ観測あり。

EUR/USD

レジスタンス 1.1380:6/4高値 1.1350:レジスタンスポイント
サポート 1.1145:一目/基準線、10日&21日MA 1.1100:サポートポイント

アセンディングトライアングルを形成中。目先の焦点は、6月4日高値の突破となろう。
一方、下値のそれは日足の一目/基準線(赤ライン)、10日MA(黄ライン)そして21日MA(緑ライン)が密集している1.1145レベル。
尚、直近のオーダー状況だが1.1310-20レベルにはオファー、1.1200レベルにはビッドがそれぞれ観測されている。

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