米長期金利の低下要因

Overview

6日の海外外為市場は材料難から明確な方向感は見られず、米ドルは対円&ユーロで売り買いが交錯する展開に。欧州タイムのドル円は114円台を堅持する状況が続いた。しかし、ロンドン勢が引けた後は米長期金利の低下に伴って米ドル売り圧力も強まり、113.70まで下落する局面が見られた。一方、ユーロドルは欧州株安と独金利の低下が意識され、NYタイム序盤に1.1580まで米ドル高が進行。しかしロンドン勢が引けた後は、上記のとおり米ドル安圧力が強まり、1.1615前後まで反発する展開となった。

米株は主要3指数がそろって高値を更新する展開となった。決算シーズンがピークアウトしたことで利確の動きも散見されたが、この日は原油先物価格の上昇を背景にエネルギーセクターが株高トレンドをサポートした。NY原油先物12月限は前週末比1.71ドル高の1バレル=57.35と3日続伸。サウジアラビアの政変を受け市場では減産強化の思惑が台頭し、一時57.61ドルと2015年7月2日以来となる高値圏まで上昇する局面が見られた。一方、NY金先物12 月限は外為市場での米ドル高一服を受け、前週末比12.4ドル高の1トロイオンス=1281.6ドルと反発した。

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Analyst's view

米ドル相場のトレンドを左右する10年債利回りは、再び2.4%の水準を割り込み低下圧力が強まっている。要因は2つある。ひとつは持続的な低インフレへの懸念である。10月米雇用統計では、平均賃金の伸びが前年同月比で2.4%増(市場予想2.7%増)と抑制された状況が確認された。賃金の伸びの加速無しに、米経済のエンジンである個人消費が持続的に拡大していくという期待が市場で醸成される可能性は低い。個人消費の持続的な拡大無しにインフレ率が持続的に上昇することもないだろう。事実、PCEコアは前年同月比で1.3%、CPIコアは同1.7%とFEDが目標としている2.0%前後の水準以下での推移が続いている。もうひとつの要因は、トランプ減税に対する期待の後退だろう。税制改革法案を予定通り公表できず、且つ公約時の内容よりもスケールダウンしたことでこの件に関する期待が急速に後退している。前者(=低インフレ懸念の払しょく)は今後の指標データを確認する必要がある。よって、目先は後者(=トランプ減税)の期待が再台頭するかどうか、この点が米金利反発の鍵を握るだろう。ライアン米下院議長は今月23日の感謝祭までに下院で修正法案を可決することを目指しているが、同時に共和党内で「多くの修正案」が検討されているとも指摘している。議会審議のスピード感が今後の米金利のトレンドを決定しよう。
そのスピード感を確認するまで、現状の米金利には低下圧力がかかりやすい状況にある。ドル円の115円トライの可能性は低いだろう。だが、日米株高が続く限り反落しても下値は限定的だろう。本日は113.00-114.50のレンジを想定したい。一方、ユーロドルは1.16台を中心とした売り買い交錯相場を想定したい。詳細はテクニカルレポートにて。


【チャート①:米平均賃金動向】

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【チャート②:米インフレ動向】

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