「米金利→米ドル安」トレンドを形成する2つめの要因

7月31日の海外外為市場は、欧州通貨買い優勢の展開となった。月末が意識され実需と思われるユーロ買いがロンドンフィキシングにかけて急速に強まった。ユーロドルは1.1845レベルまで上昇する局面が見られた。ユーロ高に追随しポンドも対ドルで続伸。1.3225レベルと、昨年9月16日以来の高値水準まで上昇した。一方、米ドル相場は引き続き下落トレンドを形成。対欧州通貨での米ドル売りに加え、トランプ政権の人事を巡るゴタゴタも嫌気され、ドル円は110.21レベルまで下落する局面が見られた。
米国株式は強弱まちまちの展開となった。ダウ平均は良好な決算を背景に、前週末比0.28%高の21,891.12と、4日続けて過去最高値を更新。一方、ハイテク株には利益確定売りが強まったことで、ナスダック総合は3日続落の展開とった。NY原油先物9月限は、米原油在庫の減少に伴う供給過剰懸念の後退を背景に、5月30日以来となる節目の50ドルを回復。前週末比0.46ドル高の1バレル=50.17ドルで取引を終えた。

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Analyst's view

米ドル安が止まらない。昨日は米金利が小幅に反発したものの、欧州通貨買いに押されドルインデックスは92.78と、昨年5月3日以来の水準まで急低下中(チャート①参照)。米ドル安をけん引しているのは、2017年以降低下傾向を辿る米金利だが、その米金利が低下している要因はインフレの鈍化にあることは先月31日のレポート「米ドル安継続の鍵は米賃金動向に」で指摘済み。事実、FEDが重要視するコアPCEやコアCPIは、2017年以降、前年同月比で急速に低下している(チャート②参照)。今後の指標データで良好な内容が確認されない限り、米金利の低空飛行は続く可能性が高い。外為市場では米ドル安に直面する局面が多く散見されよう。

インフレの鈍化に加え、「米金利の低下→米ドル安」のトレンドを形成しているもう一つの要因が、トランプリスクである。ホワイトハウスを仕切る立場にあり且つ共和党との橋渡し役でもあったラインス・プリーバス氏が突然更迭され、そのプリーバス氏を批判していたアンソニー・スカラムッチ氏はわずか10日で広報部長を解任された。政権発足から続く人事のゴタゴタは、トランプ政策の頓挫を市場に意識させる要因である。上述したインフレ鈍化の対策として有効な減税、インフラ投資そして規制緩和といったトランプ政策が実行されなければ、年後半「米金利の低下→米ドル安」のトレンドが継続する可能性が高いだろう。
世界的な株高維持が続く限り、ドル円が一気に108円を割り込む局面は考えにくい。だが、米ドル安圧力が円安圧力を凌駕している現状を考えるならば、緩やかな下落基調が継続しよう。ユーロドルは調整を繰り返しながら、上値トライの継続を想定したい。本日のチャートポイントはテクニカルレポートにて。


【チャート①:ドルインデックスチャート】

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【チャート②:米インフレ動向】

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