ドル高維持に必要な2つの条件 未だクリアできず

アナリストの視点-ドル相場は調整入りの可能性も

チャート

7月の米雇用統計はほぼ市場予想の範囲内となった。また、前月の非農業部門雇用者数が上方修正されたことでイエレンFRBによる9月利上げ期待を繋ぎ止めた。

肝心のマーケットの反応だが、主要な米国株式市場はそろって下落(特にダウ平均は7日続落)。雇用統計を受けたこの反応は、米国株式市場における利上げへの耐性が未だ不十分であることを示唆している。この点は、目先、ドル相場の調整入りを促す可能性があろう。利上げ懸念を未だ克服し切れていない米国株式市場が、引き続き米金利の低下要因となるからだ。また、商品市況の低迷、特に原油相場の低迷も米金利の上昇圧力を後退させると同時にドル相場の調整要因となる可能性があろう。事実、7日の米国債券市場では、株安によるリスク回避圧力と原油安によるインフレ期待の低下を背景に中長期ゾーンの利回りは低下。2年債利回りは利上げ期待を背景に0.72%台を維持したものの、「株安・商品安」が継続すればリスク回避圧力が波及することで、目先のレジスタンスである0.76%でレジストされる状況が継続しよう。結果、今以上にドル買い圧力が強まる可能性も低下しよう。

米国株式市場における利上げの耐性度合いの他、ドル高を促す要因がもうひとつある。それは利上げペース加速への期待だ。しかし、こちらも目先はドル高を促す要因として期待できないだろう。現時点では「相当緩慢な」ペースでの利上げが市場の想定となており、これを覆すためには今夏以降の米指標データを確認する必要があるからだ。上記の米国株式動向に加え、9月利上げに対する期待先行相場終了後、次なる期待先行のドル高材料が見当たらない状況を考えるならば、ドル相場は一度、積み上がったドルロングを調整する地合いへシフトしてもおかしくない。

ドル相場が調整入りするならば、USD/JPY123.00の維持、EUR/USDは6月18日高値1.1436を起点としたレジスタンスラインが目先の攻防分岐となろう。また、ドルロング調整による商品市況の一時的な反発期待も考えるならば、資源国通貨も一時的に対ドルで上昇する可能性があろう。

本日の焦点-株式&原油相場の動向

本日は、米国株式と原油相場の動向に注視する一日となろう。材料難から先週の流れ(株安・原油安)を引き継ぐ可能性がある。よって、外為市場では対円&ユーロを中心としたドルロング調整地合い継続を想定したい。詳細なチャートポイントは下記「Technical analysis highlights」を参照されたし。

指標データでは、日本の国際収支(6月)と米国の米労働市場情勢指数(LMCI、7月)が発表される。前者は貿易収支の改善が見込まれており、円買い要因として注視しておきたい。後者は、前回以上の内容となった場合、ドル買いの流れを引き戻せるかどうかが注目される。冴えない内容となればドル売りを促そう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 125.85:年初来高値 124.94:ボリンジャー上限(σ2.5)
サポート 124.20:10日MA(赤ライン) 124.01:21日MA(青ライン)

今週の中心レンジは123.00-125.00を想定。最大の焦点は125円への再上昇だが、それを達成しても上記の通りドル高がトレンド化する2つの条件を満たしていない状況を考えるならば、125円台の定着は難しいだろう。テクニカル面での焦点は、ボリンジャーバンドの上限(MA21  σ2.5)の攻防となろう。125円前半がオファー勢であることも考えるならば、テクニカル&オーダー状況の両面で今週も125.00前後は重要レジスタンスポイントと認識しておきたい。チャートの形状をみると、むしろ注視すべきは123.00トライの方だろう。10日&21日MAを下方ブレイクした場合、その可能性が高まろう。123.50及び123.00にはビッドが観測されているものの、「米株安・原油安・緩慢な利上げペース」のトリプルパンチを背景に122円台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。その場合、テクニカル面で注視すべきは、日足の一目/雲の下限(122.17レベル)の維持となろう。

EUR/USD

レジスタンス 1.1045:レジスタンスライン 1.0978:21日MA(赤ライン)
サポート 1.0850:サポートポイント 1.0810:7/20・21のサポートポイント

先週は1.08レベルの底堅さが確認された。目先の焦点は21日MA(指数平滑)の突破だが、それに成功すればユーロのショートカバー圧力が強まり、6月18日高値1.1436を起点としたレジスタンスラインをトライする展開となろう。このラインをも突破すれば、次の焦点は7月27日に上値をレジストしたリトレースメント50.00%戻しの再トライとなろう。一方、下値は、先週2度ユーロ売り圧力を跳ね除けた1.0850レベルの維持が焦点となろう。このレベル下(1.0840)にはビッドが観測されている。

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