冴えない米指標データの余波と四半期決算の影響を注視する1週間

アナリストの視点 -ドル売りがトレンド化すると判断するのは早計

トレーダー

3日に発表された米雇用統計(3月)では非農業部門の雇用者数が12.6万人増と、市場予想の24.5万人増を大幅に下回る内容となった。1月/2月分も前回の発表より計6.9万人下方修正された。一方、失業率は5.5%と、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で修正される前の自然失業率目標レンジ上限を維持。また、平均時給は24.86ドルと、前月比で0.3%上昇、前年同月比では2.1%上昇と堅調な伸びを示した。

肝心のマーケットの反応だが、冴えない非農業部門雇用者数の結果を受け、FF金利先物市場では6月利上げの可能が10%程度に後退。米債券市場では、金融政策の方向性を反映しやすい2年債利回りが0.50%割れの展開となった。外為市場は当然のごとくドル売りで反応。ドルインデックスは再び21日MA割れが明確化した。

今週は、米雇用統計ショックの余波がドル相場に与える影響と米四半期決算に突入する中、米株が再び調整色を強めるかどうかが焦点となろう。

3月の非農業部門雇用者数の落ち込みは確かにドル売り要因ではある。しかし、EUR/USDは3/26高値1.1050レベルすらトライすることなく反落。また、USD/JPYは短期サポートラインを維持し、AUD/USDはNYタイムに入るとむしろ豪ドル売り優勢となる等、ドル売りは限定的だった。背景にあるのは、米国と日欧豪間にある金融政策のコントラスト(方向性の違い)だろう。日欧に続き、今週の豪準備銀行(RBA)会合では追加利下げが実施されるとの観測が根強い(政策金利の市場予想は現時点で2.25%の据え置き)。また、国内では急速に進行した円安への警戒感に加えて、統一地方選挙を直前に控えているタイミングでもあることから、黒田日銀は7-8日の金融政策決定会合で現状維持を決め込むだろう。対して米国だが、イエレンFRBによる6月利上げの可能性は後退した。しかし、先進国で年内利上げが確実視されているのが米国のみであるという状況に変化はない。また、低迷するユーロ圏と新興国経済、不安定な資源価格(原油/鉄鉱石)、そして再台頭してきたギリシャリスクも考えるならば、「6月利上げ観測後退」を背景に短期的なドルロング調整圧力が強まっても、それがドル安としてトレンド化すると判断するのは早計だろう。

また株式市場、特に米国株式の動向も重要だろう。冴えない雇用統計と米早期利上げ観測の後退を受け米株が上値トライとなれば、「株高オンリーのリスク選好」を背景にドル/円売り(クロス円中心)、ユーロ/資源国/新興国通貨買いの展開となろう。

だが、2014年以降の米株は、四半期決算に絡んで調整に入るパターンが確認出来る。8日のアルコアを皮切りにその四半期決算がいよいよ本格化するが、米主要企業500社の2015年1-3月期決算は、ドル高と原油安のダブルショックにより前年同期比で2.8%の減益になる可能性があるとの観測報道が出始めている(4/5日経新聞電子版)。今回も米株で「四半期決算調整パターン」が繰り返されるならば、グローバル株式市場も不安定することで外為市場ではリスク回避のドル高が強まる可能性がある(特に対資源国/新興国通貨)。また、13日の週以降に発表される米指標データが総じて好調な内容となれば、「9月以降の利上げ」が次のテーマとして浮上し、ドルを買い戻す動きが再び強まる可能性も否定出来ない。

今日の焦点-材料少なくレンジ相場を想定

本日は中国、オセアニアそして欧州の各市場が休場。また7日以降、日英豪州の金融政策会合、国際通貨基金(IMF)による最新の世界経済見通しの公表、そして米連邦公開市場委員会(FOCM)議事録の公表が控えていることを鑑みるに、本日の外為市場はレンジ相場で推移する可能性が高い。

市場参加者が少なく且つ材料難の中、マーケットの焦点は米国マーケットの動向に集中しよう。雇用統計(3月)に続き23時のISM非製造業景況指数(同月)が市場予想を下回るならば、ドル売り圧力がさらに強まろう。IMM非商業(投機)部門のユーロショートが過去最高水準で積み上がっているEUR/USDでは1.1050レベルの上方ブレイクを想定したい。米早期利上げ観測の後退により米株が堅調に推移すれば、資源国/新興国通貨も対ドルで堅調に推移しよう。一方、USD/JPYのトレンドは株式とクロス円の動向に左右されよう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 120.24:21日MA(緑ライン) 120.00:レジスタンスポイント
サポート 118.65:短期サポートライン 118.21:リトレースメント61.80%

RSIでの売り買い分水嶺50.00ブレイクが明確化。今週は122円台到達の起点となった118.00下方ブレイクに警戒したい。テクニカル面での焦点は、順に短期サポートライン(115.85-118.33)、一目/雲の下限そして122.03からのリトレースメント61.80%戻し118.21となろう。上記で指摘したように、米株が崩れるようならば、リトレースメント76.40%戻し117.31レベルを視野に下落幅が拡大する可能性もあろう。

一方、上値は21日MAの突破が引き続き焦点となろう。すぐ下の水準には一目/基準線(赤ライン)も推移している。

EUR/USD

レジスタンス 1.1125:リトレースメント61.80% 1.1053:3/26高値
サポート 1.0882:21日MA/一目/基準線(緑/赤ライン) 1.0850:サポートポイント

RSIは売り買い分水嶺の50.00を突破。しかし、ローソク足の実体ベースでは未だ1.1台へ到達出来ない状況が継続中。目先の焦点は、短期トライアングルの上限及び3月26日高値1.1053レベルの突破となろう。これらレジスタンスポイントの突破に成功すれば、3月13日安値1.0462からリトレースメント61.80%戻し1.1125レベルを視野に入れる展開となろう。

一方、下値は1.0850レベルの維持が焦点となろう。上の水準では一目/基準線と10日MAがクロスしている。

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