リスクの回避ドル高ならばドル円は105円台へ

Market Overview

現在のドル高は欧州通貨売りが主因
米ドル相場の方向性を示すドルインデックスは、9-10日に2日連続の陽線が出現。米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りが先月12日ぶりに0.74%台の水準を割り込む展開となっているにも関わらず、米ドル相場が再び反発基調にある主因は、欧州通貨売りにある。事実、ユーロは対ドルで2日連続の大陰線が出現。テクニカル面では日足の一目/雲の下限ブレイクの可能性が高まっている。一方、英ポンドはサポートライン及び日足の一目/雲の下限を一気に下方ブレイクし、4月18日以来となる1.14180レベルまで一時急落した(10日の対ドル)。これら欧州通貨売りの背景にあるのが英国のEU離脱リスクである点は明白である。今後の英世論動向で離脱派が勢いづけば(英BBCの最新調査では「残留」が45%、「離脱」が44%と拮抗。またNHK報道でも2つの世論調査が国を二分する状況を示していると報道)、これら欧州通貨にはさらに下落圧力が強まろう。その場合外為市場では、「消去法のドル高」の展開(=利上げ期待の後退で投資妙味は乏しいがとりあえず今はドルを買っておこうという展開)となろう。

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日米金融政策、それぞれの焦点

英国リスクの他に注視すべきは、日米の金融政策イベントだろう。米連邦公開市場委員会(14-15日、FOMC)の焦点は「7月利上げシグナル」の有無となろう。英国のEU離脱リスクが意識されているタイミングでそのシグナルを発信してくれば、米利上げリスクまでが再台頭しよう。その場合、外為市場では「消去法のドル高」から「リスク回避のドル高(=ドル資産への本格的な資金シフト)」のムードが強まり、グローバル株式市場は不安定化しよう。国際商品市況も同様の展開となる可能性が高い。

一方、日銀金融政策決定会合(15-16日)の焦点は「追加緩和の有無」にある。日銀の黒田総裁は4月28日の決定会合後の記者会見でマイナス金利の効果時期について質問された際、「マイナス金利と言わず金融緩和は実質金利を下げ、設備投資などの内需にプラスに効いてくるが、若干タイムラグがあり具体的に申し上げるのは難しい。1-2ヵ月で出てくるものではないが、半年、1年とはかからないだろう」と述べている。その設備投資の重要指標である最新の機械受注統計(4月)は、前月比11.0%減の7963億円(船舶・電力を除く、季節調整値)。マイナス金利の効果を見極めるまで最短の期限を「半年」と考えた場合、黒田日銀は5月の指標データを待つ可能性が高い。また、1-3月期GDP改定値が前期比で0.5%増、年率換算では1.9%増とそれぞれ速報値から上方修正された点も考えるならば「7月追加緩和」を想定し、今回は現状維持の公算が高いだろう。ただ、市場関係者の間で意見が分かれている点を考えるならば、現状維持となった場合は円高圧力の高まりを警戒したい。その強さは株式動向次第だが、英国の世論調査でEU離脱派が勢いづき、且つイエレンFRBまでが「7月利上げシグナル」を発信してくれば、ドル円(USD/JPY)は株安による円高圧力がドル高圧力を凌駕し、105円台再トライの展開が想定される。


【ドルインデックス日足チャート】

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【ユーロドル日足チャート】

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