ドル高再燃ならばドル円は100円トライも

Market Overview

5日の海外外為市場では英ポンドが急落した。今夏にも金融緩和が実施される可能性が高まっていること、そしてEU離脱に伴う資本流出懸念が突如意識され、英ポンドは対ドルで節目の1.30レベルをトライする局面が見られた(Low:1.3000)。対照的に買い圧力が強まったのが日本円だった。この日の原油価格と海外株式は総じて軟調地合いに。これら市場動向が円買い圧力を強め、ドル円(USD/JPY)は101.40台まで下落(Low:101.44)。一方、ポンド円(GBP/JPY)は「BREXITショック」で記録した先月安値(133.31)をあっさりと更新し、2012年12月以来となる132.02レベルまでポンド安・円高が進行。そして本日早朝には、132円台を下方ブレイクし、日本時間8時22分に130.96レベルまで下落する局面が見られた。

他の市場動向だが、原油価格(WTI8月限)はリスク回避圧力の高まりを受け、前日比マイナス4.88安の展開に。一方、米債券市場では、日英欧の金融緩和強化観測とリスク回避ムードの再燃が米債投資の妙味を高め、10年債利回りは過去最低水準を更新(Low:1.3570%)。金融政策の方向性に敏感な2年債利回りも0.55%まで急低下した。

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Analyst's view

筆者の予測に反し、昨日は「ドル高=株安」の展開となった。ドル高の主因は欧州通貨売り。英ポンドは本日早朝に対ドルで節目の1.30を下方ブレイクする展開となっている。「BREXITリスク」再燃、との一部報道があるが「今更?」という感覚は拭えず、むしろポンド売り再燃の主因は英金融政策への思惑、つまり今夏にも金融緩和政策が打ち出される可能性が高いことに加え、年1回の金融緩和に留まらない可能性を市場が早くも意識していることがポンド売りの主因になっていると考えている。実際、昨日の英国市場は「株高・債券高・通貨安」の展開となっている。

米ドル相場の方向性を示すドルインデックスの動向を確認すると、昨日は陽線が出現。しかし、6月24日以降レジスタンスラインとして意識されている200日MA(今日現在96.54)の突破にまでは至っていない。先月24日から続くこの動向は、欧州通貨売りの受け皿という「消去法的なドル買い」の限界を示唆している。しかし、欧州通貨への売り圧力が強まっているタイミングで米利上げ期待が再台頭した場合は「金融政策のコントラスト」を背景に、一気に200日MAを上方ブレイクする可能性が大きいことも同時に示唆している。この点を日米独英の各利回り動向で検証すると、米金利とそれ以外の金利との格差が拡大傾向にあることがわかる。しかし最も注視すべきは、独利回りの動向だろう。「BREXITショック」を受け、最も低下圧力が強まっていることがわかる。安全資産としての妙味のみが意識されているならば、金利と流動性の面からむしろ米金利の下落率の方が拡大してもおかしくない。しかし、独金利の低下率のみが突出している現実は、近い将来ドラギECBが金融緩和強化に踏み切らざるを得ない状況に陥ることを市場が先取りしているからだろう。

米独10年債利回り動向はユーロドル(EUR/USD)のトレンドを左右する。そのEUR/USDはドル相場のトレンドを左右する。8日の米雇用統計(6月)をはじめとした米指標データが総じて市場予想を上回る場合、通常ならばリスク選好要因だが、現在の市場動向を考えた場合「米金利上昇→米独利回りスプレッド拡大→ドル高→株安」のリスクシナリオを常に警戒したい。リスクシナリオが現実化した場合、ドル円(USD/JPY)は2014年前半に相場をサポートし続けた101.00を下方ブレイクし、心理的節目の100円をトライする可能性が高まろう。


【主要国金利の比較チャート】期間:2016年6月1日~7月5日
緑:米国
青:英国
赤:日本
黄:ドイツ

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