英ポンド 新たなフェーズへシフト

Market Overview

4日の海外外為市場では、英国の「Hard BREXIT」(=EU単一市場へのアクセスを失う離脱)が意識され、英ポンド売りが加速した。対ドルでは1985年以来となる1.2715レベルまで急落。対ユーロでも2013年2月以来となる0.88前半までポンド安が進行した。一方、この日の米ドル相場も堅調に推移した。前日の良好な指標データに加え、この日はFEDスピーカーによる利上げに向けたタカ派発言もドル買い圧力を強め、ドル円は75日MAの上方ブレイクに成功。102.97レベルまで急伸した。ポンド円はドル円の上昇がポンド売りの相殺要因となり、131円を挟んでのレンジ相場となった。

他の市場動向だが、英FTSEは「英ポンド急落=輸出企業の業績改善期」を背景に続伸。昨年4月以来となる7,000ポイントの大台に乗せた。他の欧州株式もドイツ銀行リスクが後退したことで堅調に推移した。一方、米国株式は四半期決算が本格化する前の米金利の上昇(=2年債利回りは0.79%台から一時0.83%台まで急伸)が調整材料とされ続落。ただ、下落幅は限定的だった。原油先物相場(WTI11月限)は、ドル高が調整材料となり反落。しかし48ドル台は維持した。

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Analyst's view

英ポンドは4日、対ドルで重要サポートポイント1.28をついに下方ブレイクした(日足チャート参照)。1.28がサポートからレジスタンスへ転換するか否か、この点が目先の焦点となるだろう。

①今後の金融政策および②経常収支の動向を考えるならば、1.28のレジスタンス化とそれに伴う英ポンドのさらなる下落(目先のターゲット1.25への下落)を警戒するフェーズへシフトする可能性が高まってきたと言える。①は言うまでもなく年内の緩和強化である。この点に関しては、直近の指標データを理由に緩和強化の後退観測が出ている。しかし、BREXIT(特に関税なしで自由に域内で貿易できるEU単一市場へのアクセスを失うHard BREXITとなった場合)に伴う英国内からの資本流出の影響を相殺するためには、英国外での稼ぎが重要となってくる。それを達成する手段として最も手っ取り早く且つ有効的手段は、ポンド安の維持であろう。それを達成するために、またくすぶり続けている欧州の政治&金融リスクも考えるならば、カーニーBoEが年内に緩和強化に踏み切る可能性はまだ十分に残されている。その点を示唆しているのが、現在の英国のマーケット状況(=株高維持 / 金利の低空飛行状態)である。

②に関しては、経常赤字の拡大傾向とその加速の可能性が潜在的なポンド売り圧力を強める要因となろう。慢性的な英国の経常赤字は2009年前半に一度ピークアウトしたが、2011年後半以降再び拡大の一途を辿り、直近は対GDP比で5%台まで達している。この赤字額をファイナンスするためには英国外からの資本流入(=対内直接投資)が重要となってくる。しかし、BREXITにより今後大規模且つ継続的な対内直接投資は期待出来ないだろう。目先、この赤字額を少しでもファイナンスするためには国際貿易市場、つまりポンド安を突破口に英国外で稼ぐしかない。この観点からも、①の年内緩和強化の可能性は市場で意識され続けよう。


【ポンドドルチャート】

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