米国経済 新たなリスク要因として浮上する可能性あり

Market Overview

産油国間での減産合意期待と日欧協調緩和期待を背景に先週のグローバル株式市場はリスク選好優勢の展開となった。しかし、このムードに水を差すとしたら、やはり中国の景気減速懸念だろう。だが、筆者は中国リスクに加え、新たなリスク要因の発生に今月以降、神経を削るべきと考えている。その新たなリスク要因とは、米国経済である。

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Analyst's view

景気動向に敏感な米製造業指数の動向を示す比較チャート①を確認すると、中国リスクが台頭した昨夏以降、減速傾向が鮮明となっていることがわかる。特に注目されるのがISM製造業景況感指数だろう。好不況の分岐点である50.0を3ヵ月連続で下回ることが確実されているが(1月予想値:48.0)、これは、リーマンショック前の2008年前半から同指数が急速に悪化した状況と似ている。また、2015年通期の小売売売上高の伸びが前年比2.1%増と、年間ベースで2009年以来の低い伸びにとどまった事実は、米国経済のエンジンである個人消費に陰りが見え始めていること示唆している。

さらに、先週発表された指標データも米国経済変調の兆しを示唆している。耐久財受注(12月)は前月比5.1%減と年末に急減速し、2014年8月以来1年4カ月ぶりの大幅な落ち込みを記録。企業の設備投資の先行指標とされる非国防資本財から航空機を除いたコア受注は同4.3%減となった。また、2015年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率換算で0.7%増と、前期の2.0%増から急ブレーキがかかった。その主因が輸出と設備投資の落ち込みにあり、且つ個人消費が2.2%増と前期の3.0%増から減速している点も考えるならば中国の景気減速懸念、新興国経済の低迷そしてドル高を背景に米国経済の先行き不透明感が今後市場で強く意識される可能性があろう。事実、米国債券利回りを比較した比較チャート②を確認すると、昨年12月の米利上げ後、各ゾーンの金利に低下圧力が強まっていることがわかる。特に注視すべきは、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りと景気動向に敏感な10年債利回りが同時に低下していることだろう。米国経済の変調とそれに伴う利上げペースの減速を市場が敏感に感じ取っていることがうかがえる。

米国経済の状況を見極める上で、今週は重要な指標データの発表が目白押しとなっている。総じて市場予想を下回るようならば米金利への低下圧力がさらに強まり、ドル売り優勢の展開となろう。ただ、それを背景にリスク回避一色となるかどうかは、国際商品市況の動向も見極める必要がある。特にNY原油先物相場(WTI)は、産油国間での減産合意期待を背景に買戻し基調が続いていおり、「国際商品市況(原油相場)反発の継続・米金利低下」ならば、ドル・円・ユーロ売り / 資源国・新興国通貨買いの展開が想定される。ただ、期待先行相場というのはネガティブな観測(報道)で脆くも崩れるリスクを内包している。先週、ロシアサイドからリークされた減産を巡る2月の臨時協議開催についての観測(報道)に注視する日々が継続しよう。

【比較チャート①:米国各種製造業指数】

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【比較チャート②:米金利動向】

米金利比較チャート

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