不安材料は国際商品市況

Market Overview

10日の海外外為市場でも米ドル買いが継続した。この日の米10年債入札では、最高落札利回りが2.400%、応札倍率が2.33倍と、今年2月以来の低水準となった。これを受け10年債利回りは2.4%台を挟んでの堅調推移が継続した。また、米金融政策の方向性を織り込みやすい2年債利回りも1.36%手前まで上昇する等、反発基調を維持。米金利の上昇は米ドル買い圧力を強めドル円は114.36レベルまで、ユーロドルは1.0853レベルまでそれぞれ米ドル高が進行した。米ドル以上に買い圧力が強まったのが新興国通貨だった。この日のNY原油先物6月限は、米国の週間石油在庫統計で原油在庫が大幅に減少したことが好感され、前日比3%を超える大幅高の展開に。CRB指数も急反発した。外為市場では、資源価格の動向に敏感なロシアルーブル、メキシコペソ、チリペソそしてブラジルレアルといった新興国通貨買い圧力が対ドルで強まった。一方、カナダドルやノルウェークローネといった原油産出国も対ドルで堅調推移となった。
尚、本日早朝にNZDが急落した。中央銀行のRBNZは予想通りオフィシャル・キャッシュレートを1.75%に据え置くことを発表。その後に公表された声明文がハト派よりの内容だったことからNZDへの売り圧力が強まった。対ドルでは、0.6940レベルから0.6833レベルまで急落する展開となった。

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Analyst's view

米金利の上昇は継続中。ここ数日、FEDスピーカー達が金融政策について言及している。ブラード・セントルイス連銀総裁は元来のハト派スタンスを維持しているが、中立派のカプラン・ダラス連銀総裁が「今年計3回の利上げが自身の基本的な見解」「前進するに従ってバランスシート縮小の措置取るべき」と発言しタカ派よりに傾斜。もともとタカ派として知られるメスター・クリーブランド連銀総裁、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁らと歩調を合わせ始めている。この状況は3月利上げ前の土台作りの時と似ている。もともと6月利上げは市場のメインシナリオとして想定されていたが、年内のバランスシート縮小という追加の金融引き締め策も加わっている現状を考えるならば、米金利が反発基調を維持するのは当然だろう。問題はFEDのスタンスに対する他の市場の反応だが、欧米株式は高値圏での推移が続いており米金融引き締め政策をリスク要因とは捉えていない。また、株安要因として注視すべき地政学リスクが再燃する兆しもない。これらの点は、10日のレポート「米ドル高の継続を想定」で指摘済み。
他に考えるべきリスク回避要因としては、米ドル高リスクに直面する国際商品市況の下落だろう。この点ついては一抹の不安が残る。CRB指数は昨年のトランプラリーの安値レベルを下方ブレイクし、且つ原油先物価格は50ドルを割り込んで以降、根強い供給過剰懸念が意識され戻りが弱い。米金利の上昇に追随し米ドル高がさらに加速すれば、国際商品市況がリスク要因として意識される可能性があろう。ただ、現状はそのムードも感じられない。よって、ドル円は引き続き上値トライを想定したい。攻防分岐は今年高安の61.80%戻しにあたる114.60レベル。このテクニカルポイントの突破は115.00トライのシグナルと捉えたい。


【チャート①:国際商品市況の動向】

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【チャート②:ドル円テクニカルチャート】

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