リスクセンチメントはトランプ政策の概要次第

Market Overview

仏内務省と現地メディアの報道によれば、23日に実施したフランス大統領選挙の第1回投票で中道系独立候補のエマニュエル・マクロン氏と極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が5月7日に予定されている決選投票に進むことが確実となった。ただ、3位以下の候補がマクロン氏の支持をすでに表明していることから、同氏勝利への期待が高まったことで週明けのユーロ相場はギャップオープンでのスタートとなった。ユーロドルは一時3月27日高値1.0904レベルを突破する局面が見られた(早朝高値:1.0935)。一方、ユーロ円も120.69レベルとギャップオープンでのスタートとなった。また、週明けのドル円は110.24と、先週末終値から1円以上離れてのスタートとなり、一時110.61まで上昇する局面が見られた。

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Analyst's view

今回のフランス大統領選挙は決選投票でマクロン氏が勝利、というのがメインシナリオである。第1回投票結果を受け、メインシナリオ通りの結果となる可能性が高まった(=ルペン大統領誕生の可能性が急低下した)ことで、週明けスタートのユーロ相場は急騰した。一方、円相場は、リスク選好を背景に円安優勢でスタートしている。ただ、第1回投票結果を受けたリスク選好トレンドが継続するかどうかは、今後の北東アジアの地政学リスクとトランプ政策の概要次第となろう。

前者(=北東アジアの地政学リスク)については、25日以降、そのリスクが再び台頭する可能性がある。週明けにも朝鮮半島周辺に到着することとなった米海軍の原子力空母カールビンソンと海上自衛隊は、柔軟抑止選択肢(FDO、日米防衛協定の協力項目)を目的とした共同訓練を23日より西太平洋の海域で実施。25日に朝鮮人民軍創建85周年を控え、緊迫化する北東アジア情勢をにらんだ動きが日米で活発化していることは、それだけ事態が切迫していることを示唆している。北東アジアの地政学リスクが再び意識されれば、外為市場では円高要因となろう。
ただ、リスクセンチメントを見極める上で地政学リスク以上に注視すべきは、後者のトランプ政策の方だろう。トランプ米大統領は21日(日本時間22日未明)、税制の簡素化に関する大統領令に署名。その後、調整が難航していた税制改革の概要を26日に発表することを明らかにした。今回の概要で最大の焦点となるのは、財源の確保であろう。大規模減税について共和党内で未だ意見が割れている最大の要因がこの点にあるからだ。大規模減税を実施出来るだけの財源を現実的な方法で確保できる内容が示されれば、米国市場はトランプ政策期待の再台頭を背景に株高と金利反発の展開となろう。米金利が再び反発基調へ転じれば、米ドル相場全体の押し上げ要因となろう。ドル円は株高と日米金利差拡大を背景に112.00を突破し、115円台へ上昇する可能性が高まろう。ただ、現実的な財源確保の手段として下院共和党が提案している「国境調整」については、今回の概要に含まれない可能性がある(Bloomberg)。また、導入されても米国への資金流入期待と貿易赤字の縮小観測を背景とした米ドル高が急速に進行する可能性もあり、ムニューシン財務長官は導入に慎重姿勢をにじませている。トランプ氏が2月初旬に語った「驚くべき減税政策」とならない場合は、トランプ政策期待の後退を背景に108円割れリスクを警戒したい。


【チャート①:ドル円テクニカルチャート】

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【チャート②:ドル円と日米金利差チャート】

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