就任式とトランプリスク

Market Overview

19日の海外外為市場は、ビッグイベント(新大統領就任式)前に上下に振れる展開となった。米利上げ期待とこの日発表された良好な指標データが好感され米金利は上昇基調を維持。米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは、今月3日以来となる2.50%手前まで反発する局面が見られた。米金利の上昇は日米金利差拡大を促しドル円をサポート。一時115.62レベルまで上昇した。ドル円に連動しクロス円も総じて円安優勢の展開となった。ただ、海外株式の下落やトランプ次期政権の政策運営能力への不透明感も意識され始めていることもあり、NYタイムは一転して米ドル売りの展開へ。ドル円は114.67レベルまで下落し、クロス円も追随。ユーロドルをはじめとした他のドルストレート通貨ペアも往って来いの展開となった。

欧米株式はトランプ次期大統領の就任式を前に持ち高調整地合いとなった。ダウ平均は2016年12月8日以来、およそ1カ月半ぶりの安値で終えた。原油先物相場(WTI2月限)は、供給過剰懸念への思惑が交錯するも小幅に反発した。

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Analyst's view

米株(S&P500)と金利(10年債利回り)の動向を比較したチャート①を確認すると、今年に入り広がった乖離が米金利の上昇により急速に収斂されていることがわかる。一見すると、トランプラリーの再始動(株高/金利上昇の共存関係復活)にも見えるが、米株の上値が徐々に切り下がっている点には注意が必要だろう。現時点では株安圧力が強まっているというよりも、今月最大のイベントであるトランプ次期大統領の就任式を控えたポジション調整地合いといったところ。しかし今後、根強い利上げ期待を背景とした米金利の上昇スピードが米株のそれを上回るならば、市場では金利上昇を超える企業の期待成長率が維持できるのか?という警戒感が台頭しよう。その警戒感を払拭する最大の材料はトランプ政策の着実な遂行である。だが19日のレポートでも指摘したように、直近のトランプ次期大統領の言動や米メディアとの軋轢を考えるならば、政策運営能力を備えるためには時間を要するだろう。つまり、現実的且つ効果的な経済政策を打ち出すまでには時間がかかるということであり、就任式から一定期間、市場の失望を誘うだろう。

また、トランプ次期大統領の国際貿易に関する言動にも注意が必要だろう。すぐさま中国を為替操作国に指定する可能性は低くなっている(=米中貿易戦争勃発の可能性は低い)ものの、環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)の即時離脱表明となれば、保護主義貿易の台頭や国際供給網の混乱が意識され米株の上値を圧迫する可能性がある。「米株高/米金利上昇/米ドル高」の理想的な関係から「米株高」のみが脱落し「米金利上昇/米ドル高」の関係となれば、それはトランプ次期政権が究極目標として掲げる米国第一主義の足枷となろう。そして米国サイドに明確な米ドル高けん制発言の動機を与えるきっかけとなり、ドル円は一時的に目先のサポートポイントである112.00レベルや111円ミドルレベルはおろか、節目の110.00すら下方ブレイクする展開が想定される(チャート②参照)。

本日のドル円とユーロドルのチャートポイントに関しては「IGテクニカル分析」を参照されたし。


【チャート①:米国株式と米10年債利回り動向】

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【チャート②:ドル円チャート】

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