米株高と米ドル高けん制発言の関係

Market Overview

15日の海外外為市場では、米ドル高がさらに加速した。FOMCによる2017年の利上げペースが加速するとの思惑が米ドル高を牽引し、ドル円は欧州時間に118.66レベルまで急伸する局面が見られた。一方、ユーロドルは1.04台の水準を割り込み、1.0366レベルまで米ドル高が進行した。ただ、米ドル高は国際商品市況の圧迫要因となり、NY原油先物相場(1月限)は続落。外為市場では資源国通貨売り優勢の展開となった(対ドル)。

海外株式の動向だが、ドイツDAXは年初来高値を更新(終値:11366.40 前日比+1.08%)。米株は金利上昇による金融機関の収益改善期待が相場をサポートし、主要3市場はそろって反発した。米株高を牽引した金利だが、米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは一時2.64%と、2014年9月以来の水準を付ける局面が見られた。

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Analyst's view

昨日のレポートで、米株の動向を注視する必要があると指摘した。その米株は、FEDによる利上げペース加速の観測を受けても株高トレンドを維持。あらためて米金利の上昇との強固な共存関係が確認された(比較チャート①参照)。年内中にトランプラリーの流れを変える可能性があったECBイベントは緩和継続によりむしろ株高要因に。そして急騰する米金利の調整地合いを促す可能性があったFOMCは上記の利上げペース加速観測でむしろ米金利のさらなる上昇を促す要因となっている。また、唯一のリスク回避要因だった原油安もOPEC総会後の減産合意で堅調地合いを維持している。これらの状況を俯瞰した場合、米大統領選挙後に発生したトランプラリーの終焉は、結局その震源地となっている米国内のリスク回避要因が発生しなり限り、続く可能性が高いことを示唆している。もちろん、調整は散見されるだろう。しかし、それは新たな米ドルと株買いのチャンスを提供することになろう。

トランプラリーのトレンドを転換させる最も注視すべきリスク要因は、トランプ政権の政策運営能力だろう。言い換えれば、選挙で掲げた経済と移民政策の頓挫である。ただ、この点に関しては来年1月20日以降のテーマとなる。
では目先、トランプラリーのトレンドを変える米国イベントとは何か?それは、米ドル高に対するけん制発言である。選挙期間中、為替市場に関するトランプ次期大統領の言動を鑑みれば、米ドル安志向であることがうかがえる。よって外為市場では、そろそろ米ドル高けん制発言が飛んできてもおかしくないとの指摘が出始めている。しかしこの点について、現状米国サイドが通貨高けん制発言をしてくる可能性は低いと筆者は考えている。何故か?現在の米ドル高が米株高とセットになっているからだ(比較チャート②参照)。この強固な共存関係は、米国内への資本流入が加速していることを意味している。そして資本流入の加速はトランプ次期大統領がファーストプライオリティとして掲げる「米国第一主義」と合致する。つまり、現在の米ドル高は、次期米政権が目指す国益に適う状況となっているというわけだ。確かに為替政策は重要テーマの一つである。しかし、トランプ政権の究極の目的が「米国第一主義」である以上、単なるテーマのひとつである為替市場で米ドル高が進行しても、米株高が続く限りそれは枝葉の問題である。逆に言えば米株が崩れるならば、米ドル高は一転して国益に反すると認定されるだろう。しかし、トランプラリーを止める重要イベントがない以上、米株高は継続する公算が高い。よって、米ドル高けん制発言も飛んでこず、年内はトランプラリーの米ドル高が継続しよう。ドル円は節目の120円トライを常に意識したい。一方、ユーロドルはパリティ価格1.00レベルを視野に下落幅が拡大する展開を意識したい。


【比較チャート①:米10年債利回りとS&P500】

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【比較チャート②:米ドル相場とS&P500】

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