ドル高に対する米国サイドの思惑にも要注意

Market Overview

16日の海外外為市場でも米ドル買いの騰勢は止まらず。対円では109.75レベル、対ユーロでは1.0666レベルまで米ドル高が進行した。また、この日の国際商品市況が軟調地合いとなったことを受け、資源国&新興国通貨も対ドルで軟調地合いとなった。ロンドンフィキシング後は調整のドル売りが散見。ただ、12月利上げとトランプ政策に対する期待は根強く調整の範囲内にとどまった。

他の市場動向だが、主要な欧州株式は反落。直近の上昇をけん引していた銀行株に対する利益確定売りが相場を圧迫した。一方、米国株式でも利益確定売り圧力が強まり、ダウ平均とS&P500指数が反落した。一方、ナスダック総合株価指数は続伸し5294.58と10月24日以来の高値でこの日の取引を終了。米国債券市場は、軟調な株式市場に連動し債券買い圧力が強まったことで各ゾーンの金利が小幅に低下。NY原油先物相場(WTI12月限)は減産合意期待への思惑が交錯し反落した。

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Analyst's view

米ドル高の勢いは止まらず、ドルインデックスは一時100.57と2015年高値100.51を突破する局面が見られた。米国株式は上記の通り上値の重い展開となったが、高値圏維持の状況に変化は見られない。つまり、米国市場におけるリスク選好の「共存関係」は未だ継続中ということだ。

ただ、米国外に目を向けると世界的にリスク選好ムードが強まっているわけではないことがわかる。この点を示唆しているのが下の比較チャートだ。ドル高(=ドルインデックスの上昇)が鮮明となった10月以降のパフォーマンスを確認すると、米ドル高に追随しているのは米国株式と日銀頼みとなっている日本株のみ。APAC(日本除く)、欧州そして新興国の株式市場は米大統領選挙後、パフォーマンスの低下が鮮明となっていることがわかる。まさにトランプ次期大統領が掲げる「米国第一主義」が、グローバル市場で早くも顕在化しているわけだ。直近の米国市場の動向と米ドル高は明らかに行き過ぎだが、一昨日の堅調な米指標データ(10月小売売上高コア / NY連銀製造業指数)が続く限り、調整が所々で入りながらも11月中はこのトレンドが継続する可能性が高い。ドル円は節目の110.00、および今年最安値98.98レベルからのリトレースメント50.00%にあたる110.30レベルのトライを常に想定したい。

このトレンドが反転する時期と材料については15日の「ドル高継続も期待先行相場の危うさを警戒するフェーズへ」および16日の「期待先行相場の転換点」で既述。もうひとつトレンドの転換材料を付け加えるならば、それは米国サイドからのドル高けん制発言だろう。上述した通りドルインデックスは節目の100.00ポイントを上回る水準まで急上昇中。そのドルインデックスのトレンドを大きく左右するユーロドルは今後、12月4日に予定されているイタリアの国民投票(=イタリアリスク)が意識されることで、さらに下値トライ(=ユーロ売り / 米ドル高)となる可能性がある。その前に米国サイドからけん制発言が飛び出せば、米国債券市場でのポジション調整(=米債ショートの巻き戻し)よりも先に米ドル安圧力が強まる可能性があろう。

【チャート:ドルインデックスと世界の株式パフォーマンス】

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