リスク選好の主因は米国議会の「ねじれ」解消にあり

Market Overview

10日の海外外為市場は、米ドル買い優勢の展開となった。「トランプショック」を背景にアジア時間は米ドルが急落。しかし海外時間に入ると、トランプ候補が提唱している経済政策への期待感や利上げ維持の観測を背景に米ドルは急速に巻き返す展開となった。ユーロドルは1.1300から1.0907レベルまで米ドル高が進行。一方、ドル円は安値101.20レベルから105.90レベルまで急騰する展開となった。クロス円も「株高 / 原油高」を背景に総じて円安優勢の展開となった。

他の市場動向だが、海外株式市場はトランプ候補が提唱している経済政策への期待感を背景に総じてリスク選好状態となった。特に米国株式市場では、ダウ平均が2カ月半ぶりの高値水準まで上昇。S&P500指数同様、上昇の牽引役が金融株であった点に市場が抱く利上げ維持の思惑が垣間見える展開となった。NY原油先物相場(WTI12月限)も海外株高に連れ続伸。米金利は株高と利上げ期待を背景に各ゾーンの利回りが急騰した。

bg_us stocks new 4

Analyst's view

10日の海外時間は、世界的にリスク選好ムードが強まる展開となった。「トランプショック」が一時的な現象で終わった主因は、米国議会の「ねじれ」の解消にあろう。前回の大統領選では、再選が確実視されていたオバマ現大統領が順当に勝利を収めた。しかし共和党が下院を占めたことで「ねじれ」が発生。その後、「何も決められない政治」が続いた点を考えるならば、オバマ大統領の再選よりも「ねじれ」を意識した市場の反応(=米株安)は正しかったと言える。

しかし、今回の議会選挙で上院は共和51に対し民主は47、一方下院は共和236に対し民主191の議席数となり「ねじれ」が解消した(9日現地時間午前10時半時点での議席数)。「ねじれ」の解消は「何も決められない政治」からの脱却を意味する。そして「何も決められない政治」からの脱却は「何でも決める政治」へ大きくチェンジすることを意味する。トランプ候補は2017年1月20日の大統領就任後より、自身が提唱している経済政策を実行していくだろう。そして筆者はかねてからトランプ政権が誕生する場合、外為市場では米ドル高になると指摘してきた。トランプ政権下でドル高となる理由を端的に言うならば、①本国投資法第2弾(Homeland Investment Act2)と②税制改革にあろう(弊社ビデオコンテンツ トランプ政権誕生と市場シナリオを参照)。詳述は今後のレポートで述べていくが、これら政策を「何でも決める政治」によって次々と実行していくならば、サイクル的には株安へ転じてもおかしくない米国株式をサポートし、2017年も株高を維持しよう。それに伴い米ドル買いの圧力も高まろう。昨日の米国市場はこれらの点を先取りしたが故に「株高 / 金利上昇 / 米ドルの急激な買戻し」になったと考えられる。

直近のドル円相場は、①米国議会の「ねじれ」解消により一時的な現象に終わった「トランプショック」および②米利上げ観測が意識される中でも株式市場が崩れていない現状を考えるならば、上値トライを想定したい。目先の上限は7月21日の戻り高値107.49レベル。昨日、105.50-75の重要レジスタンスゾーンを突破する局面がみられたことでその可能性はより高まったと判断したい。一方、ユーロドルは重要サポートポイント1.0800での攻防が目先の焦点となろう。このレベルを下方ブレイクする展開は、1.0500レベルをトライするシグナルと想定したい。


【チャート:ドル円のチャートポイント】

usdjpy1110


【チャート:ユーロドルのチャートポイント】

eurusd1110

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IGアカデミー

無料のオンラインコースや各種ウエビナー、セミナーなど、IGが提供する豊富な学習プログラムを通じてトレードの方法を学び、トレードに関する知識を深めることができます。