欧州通貨安加速→ドル高リスク再燃を警戒

Market Overview

11日の海外外為市場では欧州通貨売りが加速した。英ポンドは「Hard Brexit」懸念を背景に対ドルで1.2088レベルまで急落。ユーロドルもトライアングルの下限はおろか週足一目/雲をも大陰線で一気に下方ブレイクする展開となった。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックスは7月下旬の高値97.56レベルの突破に成功。3月上旬の高値98.58レベルが視野に上昇する可能性が高まってきた。一方、米ドル以上に買い圧力が強まったのが円だった。欧米株式と原油相場の軟調地合いを受けドル円は103.17レベルまで下落する局面が見られた。クロス円もドルストレートでのドル高と株安が重石となり、総じて円高優勢で推移。ポンド円は2012年10月11日以来となる125円割れの局面が見られた。

他市場の動向だが米国株式は、冴えないアルコアの決算と原油相場の下落を受け大幅反落。ダウ平均の下げ幅は9月13日以来、約1カ月ぶりの大きさとなった。対照的に米金利は利上げ期待を背景に上昇基調を維持。米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.88%台をうかがう状況が続いている。NY原油先物相場(11月限)は、国際エネルギー機関(IEA)の石油市場月報を受けた需給の緩み、ドル高の加速そして直近の過熱感を背景に反落。ただ、50ドル台の大台は維持した。

bg_pound GBP sterling 06

Analyst's view

外為市場ではドル高が加速している。米ドルのトレンドを示すドルインデックスは200日MAはおろかトライアングル上限をも完全に上方ブレイクする展開となっている(日足チャート参照)。現在のドル高加速の主因は2つ。ひとつは、FEDによる12月利上げ観測が意識されていることで、米金利に上昇圧力が強まっていることだ。事実、昨日の米債券市場は「株安 / 原油安」にもかかわらず各ゾーンの利回りは上昇した。もうひとつは、米金利の上昇が欧州利回りとの格差拡大を促していることで、欧州通貨売りが加速していることだ。事実、ユーロドルはテクニカル面で重要なトライアングルと週足一目雲の両下限を一気に下方ブレイクした(週足チャート参照)。一方、ポンドドルは節目の1.20が視野に入る展開へシフトしている。目先注視すべきは、後者の欧州通貨安がドル高リスク再燃につながる可能性だろう。米利上げ観測が再浮上している(=米金利が上昇基調を維持している)このタイミングで、今年7月後半のように欧州通貨売りの受け皿として米ドルが選好され続けるならば、急激なドル高を招く恐れがある。マイルドなドル高ならば、リスク選好要因(=欧州金融リスクの一時的な後退、国際商品市況の反発)を背景に株式市場は何とか持ち堪えるだろう。しかし、「欧州通貨売り加速→過度のドル高」は回復基調にある国際商品市況の圧迫要因となる。それはエネルギーセクターの圧迫要因となり、結果、グローバル株式の重石となろう。

 

そして筆者は上記のリスク(=欧州通貨安リスク→ドル高リスクの再燃)は、米大統領選挙と並び年後半注視すべきリスク要因と認識している。その理由として、欧州金融セクターの不安や英ポンドが想定外に急落していることで政策の不透明感が急速に増す可能性が高まっているためだ。この点ついては別のレポートで詳述する。

尚、円相場だがドル高が進行しているにもかかわらず、ドル円は重要レジスタンスポイント104.32レベル手前で上値の重い状況となっている。筆者が指摘している「ドル高=円高」を見事に体現しているわけだが、テクニカル面では100円再トライのシグナルは点灯していない。引き続き米国市場の共存関係(=米株高と金利上昇の同時発生)の動向と四半期決算の内容を注視しながらトレンドを見極める日々が続こう。本日の想定コアレンジは102.80(89日MA)-104.32(ネックライン)。


【ドルインデックスチャート】

dxy1012


【ユーロドルチャート】

eurusd1012

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IGアカデミー

無料のオンラインコースや各種ウエビナー、セミナーなど、IGが提供する豊富な学習プログラムを通じてトレードの方法を学び、トレードに関する知識を深めることができます。