円高調整局面の継続を想定

Market Overview
8月の非農業部門雇用者数変化は15.1万人増と市場予想(18.0万人増)を下回り、平均賃金も前月比0.1%増と7月の0.3%増から鈍化した。ただ、非農業部門雇用者数変化の3ヵ月平均は23.2万人と、雇用回復の目安とされる「20万人」は上回った。且つ失業率も横ばい(4.9%)と完全雇用に近い水準を維持した。今回の米雇用統計の結果は、米国マーケットにとっては理想的な内容となった。何故なら米ファンダメンタルズの改善期待と「9月利上げ」観測の後退、これらを同時に市場関係者に意識させたからだ。事実、雇用統計後のマーケットは「米株高 / 米金利&ドル相場の緩やかな上昇」となった。特にドル高リスクが抑制されたことで、グローバル株式市場の再不安定化リスクは後退している。この点は、外為市場での円高調整局面の継続要因となろうー

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Analyst's view

8月の米雇用統計は、堅調な労働市場の改善が確認できたと同時に「9月利上げ」を意識させる程の強い内容でもない、という狭いストライクゾーンを射抜く理想的な内容となった。事実、2日の米株は上昇で反応。一方、米金利は株高に追随したが、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.80%手前でレジストされ上昇幅は限定的だった。

上述した米国マーケットの反応以上に筆者の興味を引いたのが、円相場だった。ドル高はクロス円での円高圧力を強める要因になり得たが、それを跳ね返し2日は円全面安となった。主因は、上記の米株高維持とマイルドな金利上昇にある。米株高はリスク選好の円安圧力を強め、米金利のマイルドな上昇はマイルドなドル高を誘発。これらの結果、ドル円の上昇と株高を背景とした円安がタイミング良く合わさり、2日の円安を演出した(=ドル高圧力以上に円安圧力が強まった)。8月下旬のFEDサイドのタカ派発言を発端に、円相場は円高調整局面にシフトしている。今回の米雇用統計を受け、その調整局面がさらに持続する可能性が出てきた。この局面継続の鍵を握るのがグローバル株式の動向であることは言うまでもないが、米雇用統計後の新興国株式や資源国通貨までが堅調に推移した点を考えるならば、投資家のリスクセンチメントに悪化の兆しは見られない。よって今週は、リスク選好を背景とした円高調整局面の継続を想定したい。

ドル円の上値焦点は、105円台への再上昇となろう。テクニカル面で注視すべきは一目/雲(日足)の攻防となろう。7月下旬同様、2日の上昇は一目/雲の下限で止められた。2016年に入り、一度も突破に成功していない一目/雲を上方ブレイクするならば、それはさらなる円高の調整が加速するシグナルと捉えたい。逆に引き続き一目/雲で上値がレジストされるならば、それは新たなレジスタンスの形成を意味する。それを促す要因はやはり株安にあろう。その株安要因として注視すべきは、FEDスピーカーの発言と9月FOMC会合のたたき台となる米地区連銀経済報告(ベージュブック)だろう。今回の雇用統計を受けて尚、利上げに対するFEDスピーカーのタカ派発言が相次ぎ、ベージュブックでも米経済成長を評価する内容となれば、再び「9月利上げ」観測が台頭しよう。結果、高値圏にある米株が崩れることで国内株式もその動きに追随し、且つ上記テクニカル(一目/雲)も意識されることで、ドル円が下落する展開が想定される。

また、同じく修正局面にあるユーロ円とポンド円も、今週は一目/雲(日足)の攻防がテクニカル面での焦点となろう。特にユーロ円は、サポートライン(=トライアングルの下限)を維持することに成功したことで、雲の上限突破の可能性が高まっている。このテクニカルの突破に成功すれば、次のターゲットは今年最高値132.35を起点としたレジスタンスラインとなろう。


【ドル円チャート】

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【ユーロ円チャート】

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