ポジション調整の外為市場

Market Overview
8月31日の海外外為市場は、円安優勢の展開となった。この日発表された8月のADP全国雇用者数が市場予想以上となったことで、ドル円は上値トライの展開に。週足の一目/転換線で上値がレジストされたものの、103.50レベルを一時突破する局面が見られた。ドル円の上昇に牽引されるかたちでクロス円も堅調に推移。雇用統計前のドルロング調整により欧州通貨高の動きが重なったことで、ユーロ円は7月29日以来となる115.43レベルまで上昇する局面が見られた。ポンド円も1ヵ月ぶりの高値水準(135.94)まで反発した。

他の市場動向だが、欧米株式は原油安や米雇用統計前の利益確定売りを背景に総じて冴えない展開となった。原油先物相場(WTI10月限)は米国の在庫増が供給過剰懸念を強め大幅に続落した(終値:44.70)。米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは、株安懸念と利上げ期待が交錯し、0.80%台を挟んで小動きとなった。

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Analyst's view

今週に入り市場予想以上の内容が続く米指標データがサポート要因となり、ドル円は103円台の攻防へシフト中。テクニカル面では、今年最高値121.69を起点としたレジスタンスラインを四度トライする重要局面にある。このラインは今日現在103.50レベルで推移しているが、週足の一目/転換線がクロスしている点を考えるならば、103.50前後は重要な攻防分岐の水準と言える。

目下、筆者が注視しているのは、ドル高リスクを背景としたリスク回避圧力の高まりだ。その兆しは、直近の原油先物相場や米株の続落に垣間見える(パフォーマンス比較チャート参照)。しかし、同時に筆者の注意を引いているのが円相場の動向だ。「株安 / 原油安」にもかかわらず、昨日はドル円のみならずクロス円も総じて円安優勢の展開となった。対照的にユーロドルやポンドドルといった他のドルストレートはむしろ上昇(=ドル売り優勢となった)。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックスのローソク足(日足)が十字陰線となった点も考えるならば、昨日の外為市場ではドル高圧力以上に円安圧力が強かったとことがわかる。
「株安 / 原油安」局面で円安圧力が強まる理由は、ポジション調整以外にない。この点は、昨日のユーロドルやポンドドルの反発が示唆している。調整圧力を強めたのが、明日発表される8月の米雇用統計であることは明白。この指標がリスク回避局面における円買いポジションの調整を促すほど意識されるのは「9月利上げ」の可否を決める決定的な要因となるからだ。よって、市場予想以上ならば「9月利上げ」が意識され、外為市場ではドル高圧力が一気に強まろう。ドル円のファーストリアクションは上値トライを想定。具体的には、上記のレジスタンスラインを完全に突破し、そのレジスタンスライン形成の主因となった一目/雲(日足)の攻防へとシフトする展開が想定される(最大105.20レベルのトライを想定)。
だが、ドル高は同時に「株安 / 原油安」というリスクシナリオの顕在化の可能性も高めるだろう。2006年以降のドル円相場が株式動向と高い順相関の関係にある点を考えるならば上記シナリオが顕在化した場合、「ドル円の上昇は一過性で終了(=株安を背景に円買いのポジション調整が終了)→一目/雲で反落→新たなレジスタンスラインを形成」というプロセスを経て、再び100円割れに向けて円高圧力が強まる展開を常に警戒したい。


【ドルインデックスチャート】青ライン:200日MA

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【パフォーマンス比較チャート】赤ライン:米国株式(MSCI) 緑ライン:ドルインデックス

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