日銀イベント後の逆回転相場に要注意

Market Overview

28日の海外外為市場では、円の売り買いが交錯する展開となった。欧州タイムは株安を受け円買い局面が散見された。NYタイム序盤も同様の展開となった。しかしロンドン勢が引けた後、「日銀は政府の圧力もあり追加の金融緩和へ踏み切らざるを得ないのではないか」という思惑や米株が堅調に推移したこともあり、一転円安優勢の展開に。ドル円(USD/JPY)は104.70台から高値105.50レベルまで反発する局面が見られた。クロス円もUSD/JPYと同様の展開となった。尚、7時30分過ぎに投機的な円買い圧力を背景に急落する局面が見られた(ドル円は103.35まで下落)。一方、ドル相場はFEDの現状維持が意識され売り優勢の展開に。ドルインデックスは、一時200日MAを下方ブレイクする局面が見られた。ユーロドル(EUR/USD)は1.11のオファーをこなし、1.1120手前まで上昇するも欧州通貨売り圧力は根強く、1.1060台まで反落した。

他の市場動向だが、米国株式市場ではダウ平均が4日続落するも、S&P500およびナスダックは堅調に推移した。原油先物相場(WTI9月限)は、オクラホマ州クッシングの原油在庫増が示されたことが嫌気され続落。4月20日以来となる低水準まで下落(終値:41.14、前日比:マイナス1.86%)。米国債券市場では、FEDの利上げ見送りと原油下落を受け、各ゾーンで利回りが低下。金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.71%台まで低下した。

bg_japan_stocks_1389275

Analyst's view

本日のメインイベントは日銀金融政策決定会合となろう。今回の会合は、期待先行相場(=円安・株高)を逆回転させるイベントとして注視したい。

ポイントは、先々週より円相場と国内株式が期待先行相場に陥っていることだ。この状況の先導役となったのは、突如降って湧いたヘリコプターマネーの導入期待だった。だが、法的ハードルという存在を考えるならば、導入の可否を判断するのは政府の仕事であって日銀の仕事ではない。よって、今回の会合でのヘリコプターマネーの導入はないだろう。現行の金融政策を維持するならば、市場間で黒田日銀の手詰まり感が想起され、逆回転リスク(=円高・株安圧力)が高まる展開を警戒したい。

今回の焦点は、異次元緩和の強化の有無に絞られよう。年80兆円の国債購入額の拡大や、上場投資信託(ETF)の買い増しそしてマイナス金利幅の拡大が焦点となるだろう。「質・量・金利」で緩和強化に踏み切れば、円相場と国内株式のファーストリアクションは「円安・株高」となろう。ただ、その後は異次元緩和の負の側面が意識され、逆回転リスクが高まる可能性があろう。そう考える理由は主に2つある。ひとつは、アベノミクス第3の矢である「成長戦略(構造改革)」が遅々として進んでいないことだ。この矢が放たれない限り、国内にあらたな需要(新産業、新サービス)を創出することは不可能である。この点は、国内の低インフレ状況や日銀のバランスシートが拡大しても、2016年以降、それ(バランスシート拡大)と円相場・国内株式との相関性が崩壊していることが示唆している。もう一点は、マイナス金利の拡大は、国内金融機関(銀行、生保)の収益をさらに圧迫するという懸念を市場に想起させる可能性が高いことだ。この点で今後注視すべきは、国際金融市場でのドル調達コストの増加にあろう。

異次元緩和の強化に踏み切った場合、ドル円(USD/JPY)は瞬間的に上値トライの展開となろう。テクニカル面では、一目/雲の上限(日足、107.72レベル)の突破が注目される(日足チャート参照)。これを達成するならば、一時的に節目の110.00を目指す展開が想定される。しかし、上述した異次元緩和強化の負の側面が意識されることで円安局面が短期で終息する可能性がある点は常に意識しておきたい。尚、現状維持となった場合は、「期待選好相場の終焉=逆回転リスクの高まり」を背景に節目の100.00再トライを警戒したい。

【ドル円日足チャート】  

usdjpy-daily-0729

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IGアカデミー

無料のオンラインコースや各種ウエビナー、セミナーなど、IGが提供する豊富な学習プログラムを通じてトレードの方法を学び、トレードに関する知識を深めることができます。