新たなリスク回避トレンドの発生に要注意

Market Overview

27日の海外外為市場は、ユーロ買い優勢の展開となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)にサプライズなし。イエレンFRBが明確な早期利上げシグナルを発信してこなかったことで、米金利は各ゾーンで低下。利上げ確率(FED Watch)も9月の利上げ確率がFOMC前の20%台から18%まで低下してことで、外為市場ではポジション調整のドル売り・ユーロ買いの展開となった。ユーロドル(EUR/USD)は一時21日MAを上方ブレイクし、1.1070レベルまでユーロ高が進行。ユーロ円(EUR/JPY)もつれ高し、116円台で底堅く推移した。ドル円(USD/JPY)は106円台をつっかける局面がみられるも、ドル売りに加え、原油先物相場の下落とそれに伴う米株の上値の重さがが影響し、NYタイムは円高優勢で推移した。

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Analyst's view

予想通りFOMCに波乱なし。しかし、国際商品市況ではリスク回避圧力が強まっている。原油先物相場(WTI9月限)は、米国の原油在庫が10週ぶりに増加に転じたことが材料視され(=供給過剰懸念が意識され)、標準誤差回帰分析バンド(日足)の下限を下方ブレイク(チャート参照)。CRB指数も同テクニカルの下限を下方ブレイクするムードが高まっている(チャート参照)。

興味深いのは、国際商品市況の下落に追随し、米株の上昇率が徐々に縮小していることだろう。今週の米株騰落率を確認するとダウ平均が-0.11%、S&P500が-0.09%と、先々週(ダウ平均:+1.59%、S&P500:+1.15%)および先週(ダウ平均:+0.2%、S&P500:+0.38%)と徐々に株高の勢いに陰りが見え始めている。3月以降、FEDはハト派スタンス(=利上げ見送りスタンス)を鮮明にし、それが米株のサポート要因となってきた。今回のFOMCでも利上げを見送り且つ明確な「9月利上げシグナル」もなし。外為市場ではドル安優勢の展開となった。これらの動向は本来ならば、米株のサポート要因となってもおかしくなかった。しかし、27日の米株は上値がレジストされ且つ上記の通り米株の上昇率が縮小傾向にあることを考えるならば、四半期決算がピークアウトしている来週以降、米株で調整圧力が強まる可能性がある点は要注意。

今後、国際商品市況がさらに下落幅を拡大させるならば、外為市場でドル高リスクが高まっている可能性が高い。27日のユーロドル(EUR/USD)は大陽線が出現。しかし、21日MAで上値がレジストされた事実は、単に7月上旬より進行していたユーロショートの調整シグナルと捉えることができる。また、ポンドドル(GBP/USD)の戻りが限定的だった事実も考えるならば、FEDと欧英勢の金融政策のコントラストが「欧州通貨安リスク→ドル高リスク→国際商品市況のさらなる下落リスク→米株下落リスク→円高リスク」という新たなリスク回避トレンドを発生させる可能性があることを示唆している。それ故、円相場では円高リスクを常に警戒する必要があろう。特にドル円(USD/JPY)は、今年最高値(121.69)を起点としたレジスタンスラインおよび一目/雲(日足)で上値が三度レジストされている。テクニカル面でも円高継続シグナルが点灯していると言える。


【WTI日足チャート】  

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【CRB指数日足チャート】

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