リスクセンチメントはドル相場次第

Market Overview

「BREXITショック」を消化したグローバル市場の次なる焦点は、今年3月以降、投資家のリスクセンチメントを左右し続けているドル相場の動向となろう。

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Analyst's view

ターニングポイントは3月のFOMC

今年3月中旬以降、「ドル安=株高」「ドル高=株安」の関係が鮮明となっている(パフォーマンス比較チャート参照)。ターニングポイントは、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)だった。昨年12月以降、市場では今年4回の米利上げが想定(株式市場では懸念)されていた。しかし、3月15-16日開催されたFOMCでイエレンFRBが予想外のハト派スタンスを鮮明にしてきたことで、利上げペースの減速観測(期待)が急速に台頭。リスク要因と捉えられてきた「年内4回利上げ=ドル高圧力」が急速に後退したことで、グローバル株式市場は騰勢を取り戻した。その後、イエレンFRBサイドの言動で利上げへの観測が揺れ動く度に「ドル安=株高」になっては「ドル高=株安」へ転じる状況が繰り返されている。

「BREXITショック」後のドル相場の動向をドルインデックスで確認すると、今年最高値(99.83)を起点としたレジスタンスラインの突破にこそ成功。しかし、200日MA(青ライン)で見事に上値がレジストされ、再び「ドル安」が強まっている(ドルインデックス日足チャート参照)。上述した関係に基づくならば、「BREXITショック」が一過性のイベントで終息した真の要因は、超短期で終息した「ドル高」にあると筆者は考えている。事実、下図パフォーマンス比較チャートではグローバル株式がプラス圏へ急浮上すると同時に、ドルインデックスはマイナス圏へシフトしている(=「ドル安=株高」の関係に回帰しつつある)。


ドル相場のトレンドは米指標データ次第

よって、今後グローバル市場がリスク選好へ回帰するのか否か、この鍵を握るのはドル相場の動向にあろう。そしてドル相場のトレンドは指標データに左右されよう。1日に発表されたISM製造業指数(6月)は53.2と市場予想(51.3)を上回る内容となった。ダウントレンドからの回復基調が再確認できた点はイエレンFRBの利上げの可能性を高めよう。ただ、米利上げの有無を最終的に左右するのはインフレと雇用情勢である。ISM指数の構成項目のひとつである雇用指数は50.4と、昨年11月以来で初めて50を上回った。次の焦点は8日に発表される米雇用統計(6月)となろう。非農業部門雇用者数の増加幅、前回の上方修正及び賃金動向に注目が集まるだろう。これら「3点セット」で市場予想を上回るようならば、米利上げ観測を再台頭させよう。その後に続く小売売上高や住宅関連指標でも堅調な内容が続けば、「7月FOMC」を意識し、外為市場ではドル高圧力が強まろう。逆に雇用統計をはじめ7月に発表される指標データが強弱まちまちの内容ならば、ドル安優勢の展開が想定される。

円相場は株式動向に左右される状況が継続しよう。「ドル高=株安」ならばクロス円を中心とした円高優勢の展開が想定される。特に金融緩和観測の圧力を受けたポンド円(GBP/JPY)の下落幅が拡大する可能性があろう。ドラギECBによる金融緩和観測が根強いユーロ円(EUR/JPY)もGBP/JPYにドル円(USD/JPY)は株安の影響をより強く受け、2014年前半のサポートポイント101.00レベルをトライする状況が散見されよう。一方、「ドル安=株高」ならばクロス円を中心とした円安優勢の展開が想定される。緩和強化観測に上値がレジストされやすい欧州通貨よりも資源国や新興国通貨が円安のけん引役になると想定される。ドル円(USD/JPY)は短期レジスタンスラインの突破が焦点となろう。


【パフォーマンス比較チャート】緑:ドルインデックス 青:グローバル株式(MSCI)

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【ドルインデックス日足チャート】

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