ドル高の影響を打ち消す原油高

Market Overview

20日の海外市場もリスク選好優勢の展開となった。この日の原油価格(WTI5月限)は、昨年11月27日以来となる42.91ドルまで大幅に続伸する局面が見られた。尚、明日より取引の中心となる6月限は44ドル台まで急伸している。堅調な原油価格は欧米株式市場のサポート要因となり、英国FTSE100指数は今年最高値を再び更新する展開に(終値:6410.26)。一方、ダウ平均は9か月ぶり高値を連日で更新する展開となった(終値:18,096.27)。

連日のリスク選好トレンドは米金利の上昇圧力を強め、それが外為市場での米ドル買戻しを誘発。ドル円(USD/JPY)は109.88レベル、ユーロドル(EUR/USD)は1.1290レベルまでドル高が進行した。一方、対資源国&新興国通貨では強弱まちまちの展開に。原油価格との相関性が非常に高いロシアルーブルは、原油高の影響が米金利上昇の影響を凌駕したことで、ルーブル高優勢の状況となった。

bg_data_trader_892776

Analyst's view

20日の外為市場はドル高優勢の展開となった。ただ、筆者が懸念している「ドル高=リスク選好トレンドの転換」という事態は各市場で見られず。その主因は原油価格の動向にあろう。上述した通り、本日より新たな中心限月となるWTI6月限は44ドル台まで急伸。堅調な原油価格は、国際商品市況(CRB指数)全体の押し上げ要因ともなっている。この結果、投資家のリスク許容度も拡大傾向を維持しているが、昨日、その点を端的に表したのがロシアルーブルだろう。下図比較チャートが示す通り、原油価格とロシアルーブルの相関性は高く、昨日は米金利の上昇を背景としたドル高圧力を原油価格の上昇を背景としたルーブル高圧力が凌駕する展開となった。また、原油価格の上昇は直近の冴えない米企業決算の悪影響も相殺しており、米国株式がリスク選好の先導役であり続けている事実も、原油相場を中心とした投資家のリスクセンチメント改善を示唆している。

焦点は、今後ドル高トレンドが形勢されて尚、「商品高+株高」トレンドを維持できるかどうかだろう。20日のレポートでも指摘した通り、3月以降、リスク選好の軸として意識され続けた「ドル安」が「ドル高」へ本格的に転換すれば、商品市況と米国株式市場にとってはネガティブ要因となる。米ドルのトレンドを示すドルインデックスは94.00前後でレンジ相場へとシフトしており、次第に底打ち感が強まっている。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で6月利上げのシグナルをイエレンFRBが発信すれば利上げペースの鈍化というテーマは一度マーケットで消化され、3月以降のドル安局面に終止符が打たれる可能性が高まろう。その際、原油価格がドル高圧力の影響を跳ね返し1バレル=50ドル台を目指す展開となれば、株高と米金利の反発基調も維持されることで円相場のトレンド(=円安トレンド)の主導権はクロス円からドル円(USD/JPY)へシフトしよう。その場合、ネックラインである111.00レベルでの攻防が注目される。
しかし、「ドル高→原油価格下落」となれば、株式市場が崩れる可能性が高い。その場合、注目されるのは米金利の動向だろう。上昇基調維持ならば、外為市場では「リスク回避のドル高」の展開が想定される。この場合、円相場はクロス円(特に資源国通貨ペア)を中心に円高圧力が強まろう。一方、リスク回避を背景に米金利に再び低下圧力が強まるならば、ドル円(USD/JPY)での円高圧力も合わさることで、円全面高の展開が想定される。

【比較チャート:原油価格とロシアルーブル】青:ロシアルーブル 黄:BRENT 赤:WTI

ルーブル・原油チャート

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IGアカデミー

無料のオンラインコースや各種ウエビナー、セミナーなど、IGが提供する豊富な学習プログラムを通じてトレードの方法を学び、トレードに関する知識を深めることができます。