より重要性が増した来週の米国イベント

Market Overview

10日の海外外為市場は、ユーロ相場が乱高下する展開となった。ドラギECBによる緩和強化が市場予想を上回る内容となったことで、外為市場でのファーストリアクションはユーロ売り。しかし、ドラギ総裁が追加利下げに否定的見解を示すと一転してユーロ相場は急伸した。ユーロドル(EUR/USD)は1.08の維持に成功すると2月25日以来となる1.1218レベルまで急反発(ただしローソク足の実体は週足の一目/雲の下限1.1180レベルでレジストされた)。ユーロクロスも同様の展開となった。
一方、円相場はドラギ発言後、欧州通貨以外は円高優勢の展開となった。ECBによる追加利下げ期待の急速な後退を受け欧米株式が軟調地合いとなったこと、増産凍結協議の迷走を理由に原油価格(WTI)が反落したことが嫌気されリスク回避圧力が強まったことが円高の背景にある。

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Analyst's view

ドラギECBは市場予想を超える内容の緩和強化-①政策金利を年0.05%から0%へ引き下げ、②中銀預金金利をマイナス0.3%から0.40%へ拡大、③QEの月次買入れ額を200億ユーロ増額し毎月800億ユーロへ拡充、④買入れ対象に高格付けの社債を追加、④長期資金供給策の追加(4年物)-を打ち出してきた。当然、外為市場でのファーストリアクションはユーロ売り。しかし、ドラギ総裁が今後の追加利下げについて否定的スタンスを示したことで、グローバル市場は欧米株安、原油反落、ユーロ&円買いと典型的なリスク回避相場を誘発した。

ECB理事会がリスク回避要因となったことで、来週15-16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)と米国指標データの重要性が急速に増したと考えている。FOMCでは利上げは見送られる公算が高い。その場合、イエレンFRBは海外リスクに対する警戒レベルを引き上げてくる可能性があるが、そうなれば市場は利上げペースの鈍化を予想するだろう。だがそれは、米国経済の先行き不透明感の高まりも意味する。前者はリスク選好(株高)要因、後者はリスク回避要因となる。どちらがより意識されるのか、その鍵を握るのが米国指標データということになろう。特に注目されるのは15-16日にかけて発表される重要指標データだが、総じて好調ならば「利上げペースの鈍化+景気減速懸念の後退」を背景に米国マーケットは株高で反応しよう。その場合、米金利への上昇圧力が強まることで、ドルショートカバーの展開が想定される。

問題は米国指標データまでが市場予想を下回った場合だろう。ECBの追加利下げ期待が後退し、且つエネルギー市場では産油間における増産凍結協議への不透明感が意識され始めているタイミングで、米景気先行き不透明感までが再台頭すれば、ドラギ発言後に強まったリスク回避圧力をさらに強めよう。その場合、「株安+国際商品市況の反落」を背景に外為市場では円&ユーロ買い圧力が強まろう。対照的にこれまで買い優勢だった資源国&新興国通貨は売り優勢の展開が想定される。

尚、テクニカル面でも興味深い展開が続いている。年明け以降グローバル市場のトレンドを左右してきた原油価格(WTI)や国際商品市況(CRB指数)は、昨日指摘したテクニカルポイント(標準誤差回帰分析バンドの上限 / 89日MA)で上値がレジストされ続けている。そして外為市場ではドルインデックスが、21日MAがサポートラインからレジスタンスラインへ転換したことでサポートラインを一気に下方ブレイクしている(下図チャート参照)。リスク選好回帰ムードがさらに強まるかそれともリスク回避相場が再来するかどうか、ECB理事会が期待外れに終わったことで、来週の米国イベントがその帰趨を決する重要イベントとなろう。

【ドルインデックス日足チャート】21日移動平均線(MA、緑ライン)

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