反応の鈍いドル円相場

Market Overview

米雇用統計は株式市場にとって理想的な内容

4日に発表された米雇用統計(2月)は、非農業部門雇用者数が24.2万人増と市場予想の19万人前後を上回る一方、インフレ指標として注目された平均賃金の上昇率は前月比マイナス0.1%と低下した。米景気先行き不透明感が意識される中でのこの結果(=景気失速懸念の後退と抑制されたインフレ状況)は米国株式にとって理想的な内容だった。事実、この日の主要3市場は揃って上昇している。
また、グローバル株式のトレンド決定要因のひとつである原油価格(WTI)は、テクニカル面で重要な35ドルレベル(ダブルボトムのネックライン)の突破に成功している。このまま重要レジスタンスポイントである38ドルレベルまで上昇する機運が高まってきた点や外為市場での資源国通貨の買い戻し基調も考えるならば、リスク回避ムードは後退していると言えよう。

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Analyst's view

これまでグローバル株式の波乱要因となっていた原油価格の低迷が終息に向かっている状況は、米金利の上昇要因且つ投資家のリスク許容度拡大要因であり、結果ドル円(USD/JPY)の上昇要因ともなる―これが今まで見られたパターンだった。
しかし、4日のUSD/JPYはヘッドアンドショルダーのネックライン116.00はおろか、ダブルボトム形成の鍵を握る115.00レベルすら突破できずにいる。リスク選好回帰ムードが強まっているにも関わらずUSD/JPYの上値がレジストされている最大の要因は、年初からのグローバル市場の混乱を受け、本邦輸出企業による円買いニーズが高まっている点にあることは3日のレポートで指摘済み。尚、2015年の経常収支は16.6兆円と5年ぶりの高水準となり、潜在的な円高圧力は2014年と比較し飛躍的に高まっている点は常に留意しておきたい。
だが、実需の動向以外で、ここにきてもうひとつ気になる円高要因が浮上している。それは投機筋の動向だ。下のチャートは、シカゴIMM市場(CFTC)における投機筋の円ポジション動向だが、2月中旬以降、リスク回避圧力の後退にもかかわらず円はネットロング(買い優勢)となっている。リスク選好下で売られやすい通貨がその状況下へ転換しても買われ続けている事実は、投機筋の投資戦略がこれまでのドル高 / 円安からドル安 / 円高へ転換している可能性を示唆している。実需と投機の両面で円を買う動きが強まっている現状を考えるならば、USD/JPYは引き続き110円割れリスクを警戒する必要があろう。ただ目先は、リスク回避後退を背景にクロス円での円安圧力がサポート要因となり、111.00-115.00のレンジ相場へシフトすると想定している。

【CFTC-投機筋の円ポジション動向】

シカゴIMM

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