新たな乖離の出現

Market Overview

8日の海外市場はリスク回避一色の展開となった。欧州株式は金融緩和環境下における金融機関の収益悪化懸念を背景に大幅続落。欧州株式の軟調地合いに加え、原油価格が再び30ドルを割り込む展開となった影響も合わさり米国株式も続落。主要な新興国株式市場も総崩れとなったことを受け、米金利は各ゾーンで低下。そして外為市場では、リスク回避の円&ユーロ買い圧力が強まった。USD/JPYは一時、2014年11月12日以来となる115.17レベルまでドル安/円高が進行。EUR/USDは1.12台へ再上昇する局面が見られた(高値1.1216レベル)。一方、原油価格をはじめとした国際商品市況の悪化を受け、資源輸出に頼る新興国通貨は対ドルでも軟調地合いとなった。

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Analyst's view

筆者は昨年10月以降、国際商品市況とグローバル株式の乖離という歪な状況は、グローバル株式市場の下落をもって収斂されると指摘してきた。比較チャート①を確認すると上記の指摘は正しい予測だったことが示唆されている。

そして現在、筆者は新たに出現している乖離に注目している。それが、米利上げ後に発生している米国株式市場と金利のパフォーマンス乖離だ。通常、株式と金利は順相関の関係にある。リスク選好(回避)の状況下ならば、投資家のリスク許容度拡大(縮小)に伴い債券市場から株式市場への資金シフト(株式市場から債券市場への資金シフト)が加速するからだ。そこで比較チャート②を確認すると、米利上げ後に発生した乖離が米国株式の下落により収斂されていることがわかる。ただ、昨年12月のイエレンFRBによる利上げを機にグローバル市場が新たな局面へシフトした時を起点にした比較チャート③では、1月中旬までは順相関の関係が見られていたものの、その後はパフォーマンスの乖離が拡大傾向にあることがわかる。景気動向に敏感な長期金利が急低下している背景にあるのは、年後半に米国経済が失速しているのではないかという懸念だろう(逆に米国株式は「米国経済失速懸念→利上げペース鈍化」が意識され米長期金利程パフォーマンスの低下が見られない可能性あり)。事実、今年に入ってからの米指標データは雇用関連指標以外、総じて米国経済の変調を示す内容が続いている。従来順相関の関係にあるものに乖離が広がっている、しかもその背景にあるのが米国経済に対する先行き不透明感であるならば、比較チャート③の乖離は、比較チャート①と同様に株式市場の下落をもって収斂される可能性が高いだろう。原油価格の不安定化(原油価格下落=株式下落要因 / 米金利低下要因)が続いている状況を考えるならば、尚更その点(=株式市場の下落による収斂)を意識しておきたい。

よって、外為市場では円&ユーロ買いを引き続き警戒したい。特にUSD/JPYは、市場関係者が注視する心理的節目の115円トライが現実味を帯びている。2012年後半からの長期サポートラインブレイクに続き、115円までも下方ブレイクするならば、これまでのドル高/円安基調が終焉し、調整局面に入った可能性を市場に強く意識させよう。

【比較チャート①】青ライン:グローバル株式(MSCI) 赤ライン:国際商品市況(CRB指数)

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【比較チャート②】青ライン:米国株式(MSCI) 赤ライン:米長期金利(10年債利回り)

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【比較チャート③:基準日=昨年1216日】青ライン:米国株式(MSCI) 赤ライン:米長期金利(10年債利回り)

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