正念場の日銀

Market Overview

21日の主要な欧州株式は、ドラギECBによる3月の緩和強化期待を背景に大幅に反発した。その影響は米国株式にも波及。堅調な欧米株式を背景に主要な新興国株式も堅調に推移した。一方、原油先物市場も行き過ぎた下落の反動から一時30ドル台を回復する局面が見られたことで投資家のリスク許容度が回復し、外為市場では円安圧力が強まった。USD/JPYは昨年の12月18日高値123.56を起点とした短期レジスタンスラインを突破し117.81レベルまで上昇。クロス円も総じて円安優勢の展開となった。対照的に資源国通貨は対ドル&円で上昇。一方、ユーロは上記の緩和強化期待を背景に対ドルで一時1.08割れブレイクの局面が見られるも、NYタイムは一転してユーロ買い/ドル売り優勢の展開となり1.09台へ再上昇する局面が見られる等、荒い値動きとなった。

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Analyst's view

ドラギECBは中国を中心とした新興国経済の低迷による域内経済の下振れリスクに対処するため、3月にも緩和強化に動く姿勢を示してきた。「海外リスク+ECB緩和強化」により、黒田日銀は2013年4月の異次元緩和導入以来、最大の正念場を迎えることとなった。
日経平均は年初来から15.85%急落し、外為市場ではUSD/JPYが昨年の12月18日高値125.56を境に一気に115円台へ突入する展開となっている。海外リスク(中国経済の減速・原油安・米国経済の先行き不透明感)が意識され且つ世界的に緩和レースが激化していタイミングの中、来週の決定会合で黒田日銀がゼロ回答となれば、市場関係者は異次元緩和の整合性(=政府・日銀の政策能力)に疑問符を投げかけると同時にその優位性が一気に後退しよう。政治リスクに敏感な海外投資家の間では、「アベノミクス」の失敗(=デフレ克服の失敗)と認識される可能性があろう。

筆者は、昨年12月の日銀金融政策決定会合が開催される前まで、今年1月の追加緩和の可能性を指摘していた(1月見送りなら7月参院選前の4月を想定=政治色の強い追加緩和)。中国リスクと米金融引締めリスクがマーケットに与える影響を日銀は見極める必要があること、そして補正予算とのセットで追加緩和に踏み切ることでそのポジティブな影響をより効果的に市場に波及させることができると考えていたからだ。だが、昨年12月の異次元緩和の「補完措置」で「1月緩和強化」の可能性はなくなったと考えていた。しかし、昨日ドラギECBが3月に動くシグナルを発信してきたことで、黒田日銀による「1月緩和強化」の可能性が再び出てきた。「海外リスク+ECB緩和強化」に直面して尚、来週の決定会合で黒田日銀がゼロ回答となれば、上記の通り異次元緩和の優位性が一気に後退すると同時にデフレ克服に対する市場関係者の疑念を強めるからだ。そうなればさらなる「株安・円高」が進行しよう。甘利経済再生担当大臣への金銭授受疑惑によりTPP関連法案審議への不透明感が強まっているタイミングでのさらなる国内マーケットの混乱は、7月の参院選にも悪影響が及ぶ可能性があろう。政治的にも日銀は正念場にあると言える。

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