米雇用統計を脇役に追いやる中国リスク

Market Overview

7日のグローバル株式市場は、中国市場を震源地としたリスクオフの流れが伝播し、世界同時株安の展開となった。主要な欧州株式市場は総崩れ。米国株式も続落し3ヵ月ぶりの安値水準で取引を終了。ブラジル、ロシア、メキシコといった新興国株式も前日比2%超の下落した。

中国リスクはエネルギー市場も圧迫し続け、NY原油先物相場(WTI)は4日続落。期近の2月物は、2003年12月24日以来約12年ぶりの安値をつける局面が見られた。
世界同時株安&原油安は、安全資産である米債への資金シフトを促し米金利は各ゾーンで低下。それに伴いNYタイムのドル相場はドル売り優勢の展開となった。一方、ユーロ相場は反発。欧州タイムに127円割れとなったEUR/JPYが128円ミドルレベルまで急反発した事実を鑑みるに、一時崩れていた「リスク回避=ユーロ買い」の相関性が復活した可能性を示唆する展開となった。

中国

Analyst's view

7日のドルインデックスは急落。構成比率(約57%ユーロ)を考えるなら、急落の背景にあるのはEUR/USDでの急反発の影響があろう。
では、リスクオフでも下落が継続していたEUR/USDが、一転して急反発した背景には何があるのか?それは米独10年債利回り格差の縮小が主因であることは、6日のレポートで指摘済み。事実、昨日の米独10年債利回り格差は縮小している。

では、独連邦債以上に米債買いが買われる(=独金利以上に米金利の低下幅が大きくなる)背景にある要因とは?それは、現在の米欧ファンダメンタルズ、金融政策のコントラスト(=金融引締めのイエレンFRBと緩和強化のドラギECBとのコントラスト)を背景に独金利が急低下し(=昨年11月以降米独利回り格差が拡大し)、それに伴い利回り妙味の面で米国債券市場への資金シフトが起こりやすい環境となっているためだ。

2016年もイエレンFRBは利上げスタンスを維持する公算が高く、ベースシナリオはフィッシャー副議長の発言も考えるならば四半期毎の利上げとなる可能性が現時点では高い。それにもかかわらず年明け以降、米金融政策の方向性に敏感な米2年債利回りは低下の一途を辿り、昨年12月14日のレベルまで低下中。米金利への低下圧力が強まる結果、外為市場でドル売りと円&ユーロ買いが進行している事実は、今年の最大のテーマが日米欧の金融政策ではなく、中国の経済動向にあることを示唆している。

本日も中国市場の動向がメインテーマとなろう。中国人民銀行が基準値を元安に設定し続ければ、人民元改革の遅れ、国内景気の悪化、内需経済転換の挫折、そして資本流出といった懸念を背景に同国株式市場の不安定化が続く可能性がある。その場合、外為市場では円とユーロを買う動きがさらに強まろう。

今晩の統計(昨年12月分)は注目材料だが、良好な結果であった場合でも2016年のメインテーマが中国である以上、リスクオンは一過性で終わる可能性が高いと思われる。尚、米雇用統計以外で注目すべきはFEDスピーカーの講演だろう。本日は、ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(翌1時30分)とラッカー・リッチモンド連銀総裁(翌3時)の講演が予定されている。

 

【比較チャート①】米独利回り格差とEUR/USDの動向

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【比較チャート②】米独利回り動向

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