次の焦点は日銀のスタンス

アナリストコメント-次の焦点は日銀のスタンス

日銀

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は22日に開催された理事会後の会見で、将来の成長見通しとインフレの下振れリスクに「警戒」していると指摘した上で、中銀預金金利の引き下げを含む追加緩和政策を示唆した。早ければ最新の経済予測が公表される12月3日の理事会で追加緩和措置に踏み切る可能性が高まったことで欧州市場は「株高・独金利低下(債券価格上昇)・ユーロ安」というセオリー通りの展開となった。
外為市場ではユーロ独歩安の展開に。EUR/USDが2%以上急落し、且つUSD/JPYも再びレンジの上限(121.00)を視野に入れる展開となったことで、ドル相場のトレンドを示すドルインデックスは、9月初旬以降より強固なレジスタンスとして意識されている96.50レベルまで急伸した。

ドラギ総裁は、前ECB総裁であるトリシェ氏が政策変更のシグナルとして用いていた「警戒」という言葉を使用し、現行の量的緩和政策の強化のみならず、追加の利下げ(=中銀預金金利の引き下げ)も含むあらゆる政策手段を講じると示唆した。予想以上のハト派スタンスを提示したことは、中国の景気減速やフォルクスワーゲンの排ガス規制違反問題が今後ユーロ圏経済の停滞要因になるとの危機感の表れでもあろう。

世界的に緩和レースが激しさを増す中、ドラギECBの予想以上の緩和強化スタンスは日銀を追い詰める材料となろう。4つの海外リスク(米金融引締め / ドル高 / 中国の景気減速 / 資源価格の低迷)は、ユーロ圏のみならず日本経済の停滞要因でもある(事実8月の生鮮食料品を除く消費者物価指数及び鉱工業生産確報値は「異次元緩和」導入前後の水準まで低下)。ドラギECBが危機対応に動いて、日銀が動かなければ、「異次元緩和」の優位性と正当性がさらに後退し、日本株は10月初旬と同じくリスク選好の波に乗り切れずパフォーマンスの低迷が鮮明となる可能性がある。10月28-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でもイエレンFRBは利上げを見送る公算が高いことを考えるならば、円相場での円安も限定的となる可能性があろう。
10月30日の展望リポートは下方修正を余儀なくされる公算が高いが、それでも尚、黒田日銀が物価基調や需給バランスの改善に対してこれまで通り強気のスタンスを維持するならば、円高圧力が強まることで日本株の圧迫要因となる展開も想定される。

本日の焦点-リスク選好(株高/ドル買い/円&ユーロ売り)優勢を想定

欧米&新興国株価指数が全面高となった流れを引き継ぎ、本日の国内株式は上値トライの展開となろう。円相場は円安優勢の展開を想定。焦点はUSD/JPYの121.00越えだろう。昨日は日足の一目/雲の上限(121.71)レベルで上値がレジストされたが、日経平均が重要レジスタンスポイントである1万8,800円を視野入れる株高となれば、USD/JPYは121円台へ再上昇する展開を想定したい。ポンドや資源国通貨も対円で上値トライの展開となろう。

指標データでは、8月のカナダ消費者物価指数(CPI)に注目したい。21日にカナダ中銀(BOC)が公表した声明では、コアインフレに関し、中銀目標(持続的な2%の維持)到達を2016年第3・四半期と、これまでの予測時期から3四半期早めてきた。しかし、ECBの緩和強化観測を背景にドル買い圧力が再び強まっているタイミングで、直近の原油価格の低迷とそれに伴う景気減速を背景にCPIの伸びが市場予想以下となれば、対ドルでカナダドルの下押し圧力を強めよう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 121.74:8/27高値 121.34:9/10高値
サポート 120.00:サポートポイント 119.65:一目/基準線(青ライン)

本日の攻防分岐はオファーが観測されている121.00。その前に、日足の一目/雲の上限をローソク足の実体ベースで突破する必要があるが、世界的な株高連鎖となれば、121円台への攻防へシフトする可能性があろう。121円台で注視すべきレジスタンスポイントは9月10日高値121.34及び8月27日高値121.74。
一方、下値のポイントは上記の通り。119.50にはビッドの観測あり。

EUR/USD

レジスタンス 1.1150:レジスタンスポイント 1.1100:レジスタンスポイント
サポート 1.1000:心理的節目 1.0979:リトレースメント50.00%

9月の安値レベル(=1.1100、リトレースメント38.20%戻し)をも下方ブレイクしてきたことで、心理的節目の1.1000の攻防が視野に。すぐ下にはリトレースメント50.00%が位置するが、ECBの緩和強化観測を背景とした株高の影響を受け1.10以下での攻防となれば、5月以降重要サポートポイントとして意識されている1.08レベルを視野に入れる可能性もあろう。
尚、本日のオーダー状況だが1.1000に厚いビッドが観測されている。

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