さらなるドル売りを警戒

アナリストの視点-さらなるドル売りを警戒

チャート

14日の海外株式はリスク回避優勢の展開となった。連日の冴えない中国指標データが嫌気され欧州株式は続落。米小売り大手のウォルマート・ストアーズが2016年1月期通期の売上高見通しを引き下げた影響もあり、米国株式も終始軟調地合いとなった。米利上げ観測の後退と株安による米金利低下のダブルパンチにより外為市場ではドル売り優勢の展開に。対ユーロでは8月26日以来となる1.1489レベルまでドル安が進行した。一方、対円では9月以降より形勢していたレンジの下限119.00を完全に下方ブレイク。オセアニア時間ではドルを買い戻す動きが散見されたが大きな変動は見られず、本日の東京時間を迎えている。

昨日公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では、8月中旬から10月初めまでの米経済活動が「引き続き緩やかに拡大した」と指摘。しかし同時に、ドル高が及ぼす悪影響(A number of Districts cite the strong dollar as restraining manufacturing activity / metals industries were generally weaker--in part, due to the strong dollar)と賃金の伸びが抑制されている(Wage growth was mostly subdued)点について懸念を表明。前者(=ドル高)のリスクに関しては、上記のウォルマート・ストアーズの他、今後の決算で製造業セクター全体の収益を圧迫していることが浮き彫りとなれば(今回のベージュブックでは製造業について下方修正)、リスク選好の先導役である米株の上値を圧迫しよう。米株が崩れれば、中国リスクを相殺する要因が消えることから、グローバル株式市場も軟調地合いへ転じよう。

後者(低賃金)については、ドル売り要因となろう。今回のベージュブックは10月27-28日の連邦公開市場委員会(FOMC)のたたき台となるが、賃金の伸びが「大半の地区で抑制され続けている」状況では、利上げのネックとなっている低インフレ状態からの脱却にはさらに時間を要することになる。低インフレ懸念が市場で意識され続ける限り、イエレンFRBによる年内利上げ観測は後退し続けよう(=米金利の低空飛行が継続しよう)。10月後半のドル相場(特にUSD/JPY)も軟調地合いを想定した方が良いだろう。

本日の焦点-決算と米指標データにらみ

アジア株式市場は、中国リスク再台頭の兆しや米ファンダメンタルズ改善スピードの後退懸念を背景とした欧米株安を受け軟調地合いとなる可能性が高い。日経平均は1万8500円レベルで見事に上値がレジストされている。本日、日足の基準線(1万7836円)を完全に下方ブレイクした場合は、9-10月高安の50.00%戻しである1万7600円付近を視野に下落幅が拡大する可能性があろう。外為市場ではUSD/JPYでのさらなる円高を警戒したい。

海外時間でも引き続き株式動向、特に米株の動向が外為市場のトレンドを左右しよう。その米株は、引き続き決算と指標データ次第でトレンドが左右されよう。
後者(=米指標データ)に関しては、9月消費者物価指数(CPI)に注目したい。コア指数が予想(前月比:0.1% / 前年比1.8%)以下となれば、年内利上げ観測の後退を背景に「米金利低下・ドル売り」の展開が想定される。そこに米株の続落も加われば、USD/JPYは重要サポートポイント118.40ブレイクの展開もあり得るだろう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 119.98:短期レジスタンスライン 119.60:一目/転換線
サポート 118.40:サポートポイント 118.00:サポートポイント(厚いビッド)

9月から続くレンジを完全に下方ブレイクした。次の焦点は118.40レベルの維持となろう。一方、上値は日足の転換線のトライが目先の焦点となろう。
ただ、このテクニカルを突破しても、短期レジスタンスラインをブレイクしない限り、118.40割れリスクは常に警戒すべきだろう。尚、このレジスタンスラインに沿って、21日MA(赤ライン)もしばらく推移するため120円手前が強固なレジスタンスポイントとなる可能性があろう。
直近のオーダー状況だが、118.50及び118.00には厚いビッドが観測されている。ただ、118.60及び118.50下にはストップが観測されており要注意。

EUR/USD

レジスタンス 1.1561:8/26高値 1.1500:レジスタンスポイント
サポート 1.1410:10日MA 1.1331:一目/転換線

攻防分岐である1.13及び1.14レベルを上方ブレイクしたことで、次の焦点は1.15台への再上昇となろう。1.1500には厚いオファーが観測されている。下値は、10日MA(緑ライン)及び転換線(赤ライン)を維持できるかが注目される。1.1330-1.1300にはビッドが断続的に並んでいる。

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