注視すべきはギリシャリスクよりも中国リスク

アナリストの視点 -より注視すべきリスクは中国にあり

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8日の海外外為市場でリスク回避ムードが高まり、円高が進行する展開となった。USD/JPYは重要なチャートポイントをことごとく下方ブレイクすると、120.41レベルまで急落。テクニカル面では今年安値115.85レベルを起点としたサポートラインのトライを視野に入れる展開となってきた。一方、クロス円も総崩れの状態に。EUR/JPYは5月26日以来となる133.30レベルまで急落。中国リスクと不安定な商品市況を背景にAUD/JPYは2月3日以来となる89.46レベルまで、CAD/JPYは4月1日以来となる94.52レベルまでそれぞれ円高が進行した。

昨日の欧州マーケットは「株高・独金利上昇・南欧利回り低下」の展開となった。ギリシャリスクはマーケットの波乱要因ではあるものの、南欧利回りが引き続き落ち着いた状況を保っている限り「南欧波及リスク」が台頭する可能性は低い。よって、ギリシャリスクを背景としたユーロ売り圧力は長く続かない、という予測に変更はない。

直近の資源国通貨の急落や商品市況の混乱を考えるならば、むしろ注視すべきは中国の成長減速リスクの方であろう。このリスクが長引けば、世界経済のけん引役である米経済の成長を阻害する要因となるからだ。事実、8日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6/17-18開催分)では、米経済回復の阻害要因としてギリシャリスクだけでなく中国リスク(新興国リスク)にも言及してきた。今週から来週にかけては中国経済の状況を見極める上で重要な指標データが順次発表される。最大の焦点は15日の4-6月期の国内総生産(GDP)だが、今年の同国政府目標である7.0%(前年同期比)を下回る展開となれば、同国の成長減速懸念がさらに強まろう。その結果、世界市場でリスク回避トレンド(=株安・債券高・商品市況低迷・資源国通貨売り)がさらに加速する可能性が高まろう。同時に米利上げ観測も後退しよう。事実、CMEのFED Watchでは9月の利上げ確率が9%まで低下し、12月のそれも38%まで低下している(2日の米雇用統計発表前は57%前後)。中国リスクを背景に年内利上げ観測すら後退すれば、外為市場では円高圧力が今以上に強まる展開が想定される。

本日の焦点-中国指標データ

アジア時間は中国の指標データにマーケットの焦点が集中しよう。6月の消費者物価指数(CPI)及び生産者物価指数(PPI)が総じて市場予想を下回るようならば、上海株と豪ドルの圧迫要因となる可能性がある。また、上海株のさらなる混乱は、日経平均の下落圧力をさらに高めかねない。日中株式が総崩れとなれば、円相場全体がさらに円高へ振れる展開が想定される。
海外時間は引き続きギリシャ情勢に関する報道を注視したい。米利上げ観測が後退しているタイミングでギリシャ情勢に進展が見られれば、EUR/USDは反発基調が想定される。



Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 121.69:一目/雲の下限 121.26:89日MA(黄ライン)
サポート 120.30:サポートライン 120.00:サポートポイント

今年安値115.85レベルを起点としたサポートラインの維持が焦点として浮上してきた。このラインを下方ブレイクする展開となれば、120円割れリスクを意識するフェーズへとシフトしよう。一方、上値は89日MAそして日足の一目/雲の下限を突破できるかが目先の焦点となろう。
尚、直近のオーダー状況だが120.00には厚いビッドが観測されている。だが、その下の水準にはストップが置かれている。

EUR/USD

レジスタンス 1.1189:21日MA(赤ライン) 1.1097:10日MA(黄ライン)
サポート 1.0974:7月8日安値 1.0916:7月7日安値

目先の焦点は10日MAの攻防だろう。昨日上値をレジストしたこのMAの突破に成功すれば、1.1180レベルまで反発する展開を想定したい。一方、下値は1.09台の維持が焦点となろう。
尚、直近のオーダー状況だが1.1100には厚いオファー、その上の水準にはストップの観測あり。1.0970及び1.0900にはビッドがそれぞれ観測されている。

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