落ち着いた反応を示した欧州債券市場

アナリストの視点-ギリシャリスクによるユーロ売りは限定的

チャート

週明けの海外外為市場はドルの売り買いが交錯する展開となった。EUR/USDはギリシャリスクと冴えないISM非製造業景況指数(6月分)の結果を受け、1.1050レベルを中心に売り買いが交錯。一方、対資源国通貨ではNYタイム以降堅調に推移した。原油価格の下落が背景にある。

円相場も同様に売り買いが交錯する展開に。USD/JPYは123円手前で上値の重い展開に。背景には、世界的な株安とそれに伴う米金利の低下が重なったことがある。クロス円ではEUR/JPYが135円を挟んで上下に振れる展開となった一方、AUD/JPY、NZD/JPYそしてCAD/JPYは上述した原油価格の急落を背景にNYタイム以降は総じて円高優勢の展開となった。

ギリシャリスクを背景としたユーロ売りは長く続かない、と筆者は指摘してきた。その理由のひとつとして挙げたのが、欧州債券市場の動向だった。6日の同市場は、ギリシャリスクを背景に南欧国債利回りが上昇した。ただ、イタリア及びスペイン10年債のそれらは2.38%台まで上昇する局面は見られたものの、ギリシャ国民投票の結果に対するヒステリックな反応は見られず。一方、独連邦債には買い圧力が強まったものの、10年債利回りは引き続き0.70%台の水準を維持。こちらも落ち着いた反応を見せた。欧州債務危機がピークに達した2012年当時とは真逆の反応を示している背景にあるのは、金融安全網の構築と民間投資家(金融機関)が保有するギリシャ国債の割合の急低下だろう。今後の情勢によってはもう一波乱あるだろうが、欧州債券市場で急速にリスクオフムードが強まらない限り、独連邦債が急騰(金利が急低下)する事態は発生しない。よって、米独金利差も拡大せずEUR/USDの趨勢は、やはり米金融政策の思惑で決定されよう。

その思惑を左右するのは、言うまでもなく米指標データだが、昨日発表されたISM非製造業景況指数(6月分)は56.0と市場予想の56.4を下回る内容となった。これを受け米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.60%台の水準を割り込む展開に。結果、昨日のNYタイムにおけるEUR/USDの下落幅は限定的となった。米早期利上げ観測が高まらない限り、ドル売り圧力がギリシャリスクを背景としたユーロ売り圧力を相殺し続ける展開が想定される。

本日の焦点-引き続き欧州債券市場の動向を注視

欧州中央銀行(ECB)は緊急流動性支援(ELA)の上限(890億ユーロ)を維持することを決定し、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)もギリシャ側の出方次第で支援継続の可能性を示唆している点を考えるならば、本日の欧州債券市場も落ち着いた状況となる可能性がある。直近の米指標データを背景に米2年債利回りへの低下圧力が強まっている状況も考えるならば、EUR/USDは下記「Technical analysis highlights」で指摘しているレジスタンスポイントをトライする可能性があろう。

一方、円相場ではUSD/JPYのダウンサイドリスクを警戒したい。上記の米利回り動向に加え、各種リスク要因(ギリシャリスク/中国株リスク)を背景に世界的に株式市場が不安定化している状況では、上値トライは期待できないからだ。クロス円はドルストレートにらみの展開が継続するだろうが、資源国通貨/JPYは再び不透明感が増してきた原油価格の動向にも目を配る必要があろう。

尚、アジア時間の焦点は豪準備銀行(RBA)のスタンスと豪ドル相場となろう。RBAが緩和スタンスに傾斜していることが確認されれば、AUDは対ドル&円で売り優勢の展開となることが想定される。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 123.24:21日MA(赤ライン) 123.07:10日MA(青ライン)
サポート 121.50:サポートポイント 121.25:89日MA(緑ライン)

上記のMAどころか、123円手前で失速している状況を考えるならば、121円台の攻防へシフトする展開を常に想定しておきたい。サポートポイントは上記の通り。
尚、直近のオーダー状況だが123.00、123.25前後そして123.50にはオファーが乾燥されている。ビッドは122.00、121.50及び121.00に観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.1213:21日MA(緑ライン) 1.1127:10日MA(青ライン)
サポート 1.0965:リトレースメント76.40% 1.0819:5月27日安値

重要サポートポイント1.0965レベルの維持に成功。目先は10日MAまで反発するかが注目される。このMAを突破した場合は、21日MAが次のターゲットとして浮上しよう。

尚、直近のオーダー状況だが1.1100及び1.1150レベルにはオファー、1.10から1.0970レベルまでは断続的にビッドが観測されている。

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