ドル売り再燃により円相場の主導権がクロス円へシフトするか?

アナリストの視点 - 冴えない指標データでドル売り継続

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15日の海外外為市場は、前日に続きドル売り優勢の展開となった。この日発表された米指標データは総じて冴えない内容となり、米早期利上げ観測がさらに後退。米金利は各ゾーンで低下した一方、欧米株式や主要な新興国株式は堅調に推移し且つ原油相場も続伸したことでグローバル市場は「株高オンリーのリスク選好」状態に。結果、外為市場ではドル売りが継続した。EUR/USDは1.07レベルトライの状況が継続。USD/JPYは6日以来となる119円割れの局面が見られた。また、主要な資源国/新興国通貨も対ドルで堅調に推移した。

「株高オンリーのリスク選好」はクロス円での円安も誘発し、EUR/JPYは127円台を挟んでのレンジ相場が継続、中国の景気減速懸念を受け上値の重い状況が続いたAUD/JPYも91.50レベルまで反発した。

尚、昨日の欧州中央銀行(ECB)理事会やその後のドラギ会見では目新しい材料はなかったものの(主要な3つの金利はすべて据え置き / 量的緩和政策は当初の予定通り2016年9月まで継続)、ハンブルク出身のドイツ人女性が「ECBの独裁を終わらせろ」と叫びながら会見中のドラギ総裁に紙吹雪を投げつけ、一時中断されるハプニングがあった。

また、原油相場の反発基調に加え加中銀(BOC)が政策金利を据え置いたことでCADは急騰。USD/CADは1月22日以来となる1.2281レベルまで急落。CAD/JPYは97円目前まで急騰した。

冴えない内容が続く米指標データを背景に、イエレンFRBによる早期利上げ期待は再び後退局面に。結果、米金利の低下とドル売りを誘発しているが、これらの点はセオリー通り。

最も注視すべきは米株の動向だろう。米景気回復の停滞を示唆する指標データの内容は基本的に株安要因だが、直近のダウ平均は1万8000ドル台を回復し、S&P500に至っては過去最高値を再び視野に入れる展開となっている。これら米株の動向を受けVIX指数も13.00を割り込む状況となる等、リスクセンチメントが後退する兆しは見えない。

このまま「株高オンリーのリスク選好」状態が鮮明となれば、円相場ではクロス円の動向を見極めることが重要な焦点となろう。なぜなら、USD/JPYがこのままドル売り圧力を背景に下値トライとなるかどうかは、クロス円の動向次第となるからだ。言い換えるならば、ドル売り圧力が強まる中ではドル高による反発が期待できない以上、USD/JPYが119円(短期サポートライン&一目/雲の下限)を維持するためには、株高を背景としたクロス円の堅調さに頼らざるを得ないということだ。このままグローバル株式市場が株高を維持すれば、クロス円がUSD/JPYのサポート要因となろう。逆にクロス円(=グローバル株式市場)が崩れる展開となれば、USD/JPYは上記のテクニカルポイントを一気に下方ブレイクし118円の再トライとなろう。


今日の焦点 - 米指標データ次第のドル相場

ドル売り継続か反発か、本日もこの点が焦点となろう。そしてそのトレンドを左右するのは、米指標データと株式動向次第となろう。個人消費動向に大きな影響を与える住宅関連指標や新規失業保険申請件数が総じて冴えない内容となれば、ドル売りトレンドがより鮮明化しよう。問題は米株だが、四半期決算(ゴールドマン・サックス、シティグループ、アメリカン・エキスプレス、ブラックロック)が総じて好調ならば、弱い指標データによるネガティブインパクトを相殺しよう。米株をはじめとしたグローバル株式が堅調さを維持するならば、クロス円は円安優勢の展開となろう。結果、USD/JPYをサポート要因となろう。
逆に米指標データや四半期決算が総じて冴えない内容となれば、米株には下押し圧力が強まろう。この場合、クロス円でも円高圧力が強まることで、USD/JPYは目先の重要テクニカルポイント(短期サポートライン&一目/雲の下限)を完全に下方ブレイクする展開が想定される。


Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 120.49:一目/雲の上限 119.77:21日(赤ライン)
サポート 119.05:短期サポートライン 118.72:4/3安値

4日連続で陰線が示現。昨日は重要テクニカルポイント(短期サポートライン&一目/雲の下限)を一時下方ブレイクする局面が見られた。RSIが売り買い分水嶺の50.00を完全に割り込んだ水準で推移していることを鑑みるに、本日もダウンサイドリスクを警戒したい。上記のテクニカルポイントを完全に下方ブレイクした場合は118円台の維持が焦点として再浮上しよう。一方、上値は21日MAブレイクとなるかが注目される。 尚、直近のオーダー状況だが、120.00 / 120.40 / 120.50にはオファーが観測されている。118.70-50 / 118.00にはビッドが観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.0793:21日MA 1.0758:一目/基準線
サポート 1.0500:節目のサポートライン 1.0453:3/13安値

1.07トライの状況が継続中。ショートカバー継続となれば攻防水準が切り上がるものの、1.08手前で推移している一目/基準線と21日MAを突破しない限り、常に1.05レベル再トライを想定しておくべきだろう。 尚、直近のオーダー状況だが、1.0710上にはストップが観測されている。オファーは1.0730 / 1.0750 / 1.0800に観測あり。一方、ビッドは1.0520 / 1.0500にそれぞれ観測されている。

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