市場が求める新たな緩和マネーの供給源

Market Overview-イベント前にリスクセンチメントは後退

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10月を迎えたグローバルマーケットは、いきなりリスクオフ優勢の展開に。冴えない米独経済指標が世界経済の先行き懸念を強めたこと、民主化推進を求める香港の活動家によるデモが拡大の一途を辿っていること、そして米国内(テキサス州ダラス)で初めてエボラ出血熱の感染者が確認されたことを受け、投資家のリスク許容度が縮小。米国株式の下げ幅はS&P500が1.30%、ダウ平均が1.40%、ナスダックが1.60%と総崩れの状況に。リスクオンの先導役を失ったことで、主要な欧州&新興国株式も総じて下落。グローバル株式の下落は米債への資金シフトを促し、10年債利回りは2.38%台まで急低下した。各ゾーンの米利回りも低下したことで、外為市場ではドル売りの展開に。特に節目の110円を突破したドル円は、イベント前の調整から一時109円割れの展開に。ユーロドルは1.26台へ反発し、東京時間を迎えている。

米サプライ管理協会(ISM)が1日に発表した9月の製造業景況指数は56.6となり、3年ぶりの高水準を記録した前月から低下した。新規受注指数(66.7→60)及び雇用指数(58.1→54.6)は共に低下。前のめりになっていたマーケットに冷や水を浴びせる格好となり、昨日の米国株式は上述の通りリスクオフ優勢の展開に。ただ、前月64.5だった生産指数が64.6と2010年5月以来の高水準となる等、今回の結果により先行き不透明感を一気に強まる可能性は低く、明日の雇用統計次第で米株は再び上値トライの展開となろう。だが雇用統計で注視すべきは、昨日指摘した通り「強すぎる内容」となった場合だろう。早期引き締め「懸念」を台頭させる結果となれば、こちらも投資家のリスク許容度の縮小要因となり、米株をはじめとしたグローバル株式全体を不安定化させよう。

そこで鍵を握るのが欧州中央銀行(ECB)の動向だろう。すでにZEW&IFO指数の両データでドイツの景況感悪化は確認済みだが、昨日発表された9月の製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)も49.9と下方修正されただけでなく、景気の拡大/縮小の分岐点となる50.0をも下回った。域内経済のけん引役であるドイツの失速は、4Q以降の域内成長率の失速を想起させる。よって、マーケットはECBにさらなる緩和強化を要求しよう。焦点はその内容だが、米連邦準備理事会(FRB)同様に、大規模な資産(国債)買い入れ(LSAP=Large Scale Assets Purchases)にまで踏み切るかどうかだろう。ECBが、FRBに代わる新たな緩和マネーの供給源としての役割を担うことが確実視されれば、グローバル株式市場は米早期引き締め「懸念」を上手く吸収しよう。イエレンFRBサイドも利上げへのハードルが下がったと認識し、ファンダメンタルズの改善に合わせて金融正常化策を推し進めよう。結果、外為市場ではドル円が中長期的な上昇トレンドを形成することで、クロス円を下支えする構図が鮮明となろう。

Today’s Outlook -焦点はECBの動向に

ECBが新たな緩和マネーの供給源の役割を担うことになるかどうか、マーケットは本日の理事会とドラギ会見でこの点を探ってくるだろう。

上述した通りLSAPに関する具体的な内容、つまり規模と購入対象となる資産について具体的に言及してくるかどうかが注目される。ドラギ総裁は前回の理事会で、ECBのバランスシートの規模を現行の2兆ユーロから、2012年初めの水準である3兆ユーロへ拡大させたい意向を示してきた。新たに導入した資産買取りプログラム(資産担保証券「ABS」&カバードボンド)に加え、FRBが導入している大規模な国債買い入れにまで踏み切ることを決断するならば、目標値である3兆ユーロの達成のみならず、グローバル株式市場全体のサポート要因ともなろう。

リスクは、LSAP導入に対して否定的なドイツの意向を反映し、ドラギ総裁が慎重姿勢を示した場合だろう。リスクセンチメントが後退しているタイミングということも考えるなら、リスクオンムードが一層後退しグローバル株式市場の不安定化を招こう。外為市場では円とユーロを買い戻す展開になると想定している。

Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 110.09:10月1日高値 110.00:心理的節目
サポート

108.25:9月23日安値

107.93:21日MA

節目の110円突破で達成感が出ていることに加え、リスクセンチメントが後退していることも受け、円安調整地合いを想定したい。目先の下値焦点は、108円台の維持だろう。テクニカル面では108.00下まで上昇してきた21日MAで反発するかが注目される。上値は再び110円台へ上昇するかが焦点となろう。尚、108.30から108.00にかけてはビッド、昨高値レベル110.10には厚いオファーが観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.2703:9月30日高値 1.2651:5日MA(赤ライン)
サポート 1.2550:サポートポイント 1.2500:心理的節目

ECB理事会次第で反発も1.2500トライもあり得る。ユーロ買いとなった場合は、5日MAを突破して短期レジスタンスラインを突破出来るかが注目される。下値は目先、1.25ミドルレベルの攻防が焦点だが、LSAP導入に前向きな姿勢を示せば、節目の1.2500トライを想定したい。尚、1.2560-1.2550にはビッドが並んでいる。オファーは1.2650から1.2730レベルにかけて断続的に並んでいる。

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