リスク選好の土台崩れず

Market Overview-米株&金利動向に注視する一週間

4日の米国株式市場は大幅に続落する展開に。米雇用統計(3月)も含め特段の悪材料がなかったが、ITやバイオ製薬関連株で利益確定売り圧力が強まり、下落をけん引。ただ今回の下落は、期待先行の上昇による反動の可能性を意識するべきで、リスク選好の土台となっている米国経済の回復期待が後退したわけではない。米株安を背景にNY外為市場では円買い圧力が強まったが、こちらも雇用統計前にドル円が104円台へ到達する等、円安が進行していた点を考えるなら、この日の下落は調整の範囲内と言える。実際、週明け早朝のドル円相場は103円台を堅調に維持する展開となっている。

マーケットの注目を集めた3月の非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比19万2000人増と、ほぼ市場予想の範囲内。前回値も17.5万人から19.7万人へ上方修正された。失業率は6.7%で横ばいだった。今回の結果を受け、米国経済の失速は寒波による一時的な現象であったと、マーケットは認識しよう。ただ、時間当たり賃金(ドル)が横ばいで、労働参加率も63.0%台と低水準での推移が続いている。またパートタイム就業者も高止まりの傾向にあり、質の面で考えるなら連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測を強める内容ではなかった。このため、ドルインデックスが再び上昇トレンドを描くためには、今後発表される各種経済指標が総じて市場予想を上回ることが求められよう。

今週は日銀金融政策決定会合と英中銀金(BOE)融政策委員会といった中銀イベントや、米中経済指標にらみの展開となろう。グローバル金融市場のトレンドを左右する米国株式や金利の動向を見極める上では、やはり米国経済指標に注視したい。リスク選好の土台となっている米国経済の回復期待を後退させる程の冴えない経済指標が続かない限り、リスク選好相場は継続しよう。米国の景気回復期待を背景に緩やかな米金利の上昇が続けば、重要サポートポイント79.00を維持したドルインデックスも上昇トレンド回帰のムードが強まろう。 9日に公表される連邦公開市場委員会(FOMC)議事録もドル相場をサポートする可能性がある。

リスク要因は中国経済の動向だが、10日発表の貿易収支(3月)や11日発表の消費者物価指数(同月)は前回より改善する見通しとなっている。市場予想の範囲内であれば、現在のリスク選好相場は継続しよう。市場予想を下回った場合は同国の成長モメンタム後退が意識され、グローバル株式市場や豪ドル相場にとってネガティブ要因となるだろうが、米国経済指標が総じて下振れる内容とならない限り、リスク回避の値動きは一過性となろう。

Today’s Outlook -日銀は現行の政策維持

本日より日銀金融政策決定会合が開催される。日銀短観で示された「企業の物価見通し」は1.5%と、日銀が目標とする2.0%に及ばなかった。このため、海外勢を中心に追加緩和の導入期待は根強い。しかし、「企業の物価見通し」は今回が初めての発表であり、過去の豊富な時系列データがない。それ故、各指標が有する特有のクセやバイアスの把握も現時点では困難であることから、追加緩和導入の決定打とはならないだろう。

また、消費増税が日本経済に与える影響を見極めるためにはある程度(数か月)の時間が必要であること、そして4月30日に、これまでの内外情勢を踏まえた国内経済と物価情勢の見通し(向こう2016年度までの見通し)を示す「展望リポート」が公表されることも考えるなら、今回会合での追加緩和導入は見送られる公算が大きい。

現行の金融政策維持の決定がなされても、円相場に与える影響は限定的だろう。リスク選好の土台となっている米国経済への景気回復期待が崩れない限り、株高を背景とした根強い円売トレンドが続く可能性が高いからだ。また、日米金融政策のコントラスト(方向性の違い)や日本の貿易構造の変化も考えるなら、日経平均や円相場が調整色を強めても、一過性に終わるだろう。短期的なドル円の下値ポイントは「Today’s Chart Point」を参照されたい。中長期スパンでは、101.00もしくは重要サポートポイント100.76を下方ブレイクする可能性は現時点で低いと考える。

Today’s Chart Point

ドル円

レジスタンス 104.50:レジスタンスポイント 104.13:4月4日高値
サポート 103.10:一目/雲の上限 102.79:3月31日安値

103.00-104.10レベルを中心レンジと考え、どちらをブレイクするかが注目される。104.10台を完全に突破した場合は、104.50レベルが次の焦点として浮上しよう。雲の下限を下方ブレイクした場合は、102円後半での攻防に注目したい。

ユーロドル

レジスタンス 1.3800:レジスタンスポイント 1.3750:レジスタンスポイント
サポート 1.3672:4月4日安値 1.3650:サポートポイント

今週は、さらにダウンサイドへ振れる展開を意識したい。目先は日足の一目/雲の攻防が注目されるが、完全に下方ブレイクとなればユーロ安/ドル高トレンドが加速し、1.3650トライとなろう。逆に上値は1.38台へ再上昇出来るかどうか、この点が注目される。

Today’s Chart

ドル円チャート
ユーロドルチャート

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