高まる3月米利上げの可能性

Market Overview

1日の海外外為市場は、「米ドル買い / 円売り」優勢の展開となった。トランプ大統領は初の議会演説で改めて1兆ドルのインフラ投資と大規模税制改革について言及。トランプ演説とその政策期待を背景にこの日の米国市場は素直に「株高 / 金利上昇」で反応した。米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは2.471%まで急伸する局面が見られたことで、外為市場では米ドル買い圧力が強まった。ドル円は株高と米金利の上昇を背景に東京時間の113.00前後からNY時間に114.04レベルまで上昇した。一方、ユーロドルは今月22日以来となる1.0513レベルまで米ドル高が進行した。

海外株式動向だが、欧米株式市場はそろって上昇。トランプ政策と米利上げに対する期待を背景に景気に敏感な金融および資源セクターが上昇のけん引役となった。ダウ平均は前日比300ドルを超える上げ幅となり、2営業日ぶりに過去最高値を更新した。一方、NY原油先物4月限は下落。米国の石油在庫が過去最高水準で積みあがっていることが嫌気された。ただ、OPEC減産による供給過剰懸念の後退観測も根強く下落幅は限定的だった(終値:前日比0.18ドル安の1バレル53.83ドル)。

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Analyst's view

トランプ米大統領は現地時間2月28日午後9時(日本時間3月1日午前11時)、米議会上下両院合同本会議で今後1年間の施政方針を示す初めての演説を行った。市場が注目していた経済 / 財政政策については、①総額1兆ドルのインフラ投資(整備)、②30年ぶりとなる大規模な税制改革、③オバマケア(医療保険制度改革)の撤廃について言及。予想通り各政策の具体的な内容については言及せず、目新しい内容は見られなかった。しかし、グローバル株式市場はトランプ演説を素直に好感した。もともとトランプ政策への純粋な期待が根強かった株式市場の上昇に違和感はない。
筆者が注視していたのは米金利の反応だった。米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは、2月16日以来となる2.471%まで急伸する局面が見られた。トランプ演説を背景とした株高が米金利の押し上げ要因となったことは事実だろう。だが、その反発が2月27日から始まっていた点を考えるならば、主因は他にあろう。それは3月の米利上げ期待の高まりである。事実、金利先物市場では3月利上げの確率が65%前後まで急上昇している。1月中旬前後より、イエレンFRB議長をはじめとしたFEDのキーマン達は3月利上げの可能性を思わせる地ならし発言を連発。直近では、中立派のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁とハト派のダッドリーNY連銀総裁がそろってタカ派コメント発信している。これらが3月利上げ確率の急上昇の要因であることは明白。また、タイミングよく2月のISM製造業景況指数が57.7と2014年8月以来の水準まで回復していることが確認されたことで(指標データも3月利上げの可能性を高めたことで)、米株とのパフォーマンスかい離は急速に縮小傾向にある(チャート①参照)。この縮小は米国市場が共存関係(=株高 / 米金利上昇の同時発生)へ回帰する可能性を示唆しており、実際にその状況となれば、ドル円は想定レンジの下限である111.60レベルを維持し続けよう。だが、その共存関係が発生した昨日は114円で上値がレジストされた。この事実は、トランプ政権の通商政策リスク(=米ドル安政策リスク)が外為市場で意識されている可能性が高いことを示唆している。このリスクを鑑みるならば、2月15日の戻り高値114.96レベルまでの反発がまず注目される。一方、ユーロドルは1.04台の攻防へシフトする展開を想定。サポートポイントは、1月11日に長い下ヒゲが示現し1.08台上昇の起点となった1.0450レベル。1.0500レベルと同じくビッドが観測されている。


【チャート①:米株と米金利のパフォーマンス】

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【チャート:ドル円】

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