日米首脳会談にらみの一週間

Market Overview

今週の円相場は、日米首脳会談にらみの展開となろう。この件に関しては様々な観測報道が見られるが、直近のトランプ大統領の発言や米国サイドが麻生太郎財務相の同行を求めているとの報道も考えるならば、日本の金融政策が議題に上る可能性がある。現在の金融政策(=異次元緩和政策)が自国通貨安誘導政策であると、米国サイドからのけん制圧力が会談前後から強まるリスクを考えるならば、今週の円相場は円高優勢で推移する可能性があろう。ドル円は112円割れを警戒すべきフェーズへシフトしている。

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Analyst's view

1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数変化こそ市場予想(17.5万人)を上回る22.7万人増となったものの、筆者が注視する平均時給は前月比で0.1%増と市場予想の0.3%増を下回る内容となった。市場は前者よりも後者の内容を材料視し、雇用統計発表後は米ドル売り圧力が強まった。この反応は極めて自然だろう。何故なら、失業率が恒常的に5.0%を割り込んでいることからもわかるとおり、米国の労働市場はすでに完全雇用に近い状態にある。今後、これまでのように20万人をコンスタントに超える雇用者数(量)の増加には期待出来ない(トランプ大統領は昨年9月、ニューヨークのエコノミック・クラブでの講演で今後10年間で2500万人の雇用増加を目指すことを表明したが現実的には不可能な水準といえる)。よって、米国の労働市場を見極める上で今後重要なファクターとなるのは賃金の上昇(質)となろう。質の面で市場予想を下回る内容が続けば、「賃金上昇→消費拡大→企業業績改善→継続的な利上げ」という期待が後退しよう。今回の雇用統計後の米ドル相場はまさにこの期待の後退を反映した動きであったといえる。

2017年に入ってからの米国市場には明らかな変調が見られる。昨年11月の米国大統領選挙後に発生したトランプ相場から米ドルが脱落しつつあるのだ。チャート①では米株(S&P500)、米金利(10年債利回り)、ドルインデックスの騰落率を比較しているが、見事に米ドル高圧力のみが後退していることがわかる。これまでのトランプ相場(=株高 / 金利高 / 米ドル高)から現在の相場(=株高 /金利高)へ変化した主因が、米国の通商政策が本格的に指導し始めたことにある点は、3日のレポート「焦点は米雇用統計と日米首脳会談」で指摘済み。対内経済政策(=減税&インフラ投資)への期待は今後も「株高 /金利高」要因となるだろう。だが、貿易不均衡の是正を最終目標とする対外政策(=通商政策)は米ドル安要因としてことあるごとに外為市場で意識されよう。現在はまさにそのフェーズへ突入しており、このタイミングで米国サイドが露骨に米ドル安政策と日本の金融(為替)政策をターゲットにしてくれば、ドル円はサポートポイント112.00(トランプラリー発生後の高安38.20%戻し)を割り込む展開となろう(チャート②参照)。その場合、心理的節目の110.00(同50.00%戻し)を目先の下値ターゲットと想定し、このレベルをトライする攻防分岐として昨年11月28日安値111.35レベルでの攻防に注目したい。一方、上値の焦点は115.00トライとなろう。このレベルをトライするシグナルとして注視すべきは、今年に入りサポートラインからレジスタンスラインへ転換している21日MA(今日現在114.00前後)の突破となろう。


【チャート①:S&P500、米10年債利回り(US10YT)、ドルインデックス(DXY)】

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【チャート②:ドル円チャート】

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