2016年のドル円相場-円高トレンドの1年に

2016年ドル円相場の展望

ドル円相場

今年のドル円相場の予想に関し、市場関係者の間では意見が割れている。このテーマについて筆者が他のアナリストやストラテジストとの意見交換で感じていることは、結局のところ、日米金利差との相関性に対する考え方の違いが「円安派」と「円高派」を分かつ要因となっているということだ。円安派は「日米金利差との相関性が高い」と考えるが故に2016年のドル円相場は130円を目指すと指摘。逆に円高派はその相関性が低くなるが故に円高優勢の1年と指摘する。

結論から言うと、筆者は後者のスタンス、つまり2016年のドル円相場は円高トレンドを形成すると考えている。

理由は「円安要因」の後退である。2012年11月以降から続くドル高/円安トレンドは、「ドル高要因=米国の利上げ期待」と「円安要因=異次元緩和の導入&経常収支の悪化」が車の両輪のようにうまくかみ合ったがために発生した現象であると筆者は考えている。前者の要因(=ドル高要因)に関しては、今年も意識され続けよう。

筆者がより重要視しているのは、後者の要因(=円安要因)である。昨年12月の日銀金融政策決定会合での異次元緩和の「補完措置」導入とその後のマーケットの反応は、黒田日銀の政策の限界とその賞味期限が短くなっていることを示唆している。これは「第3の矢」である「成長戦略」が遅々と進まないことに対する市場の失望感と言い換えてもいいだろう(要は国内政治リスクの問題)。
それに加えて円相場のトレンドを大きく左右する経常収支に至っては、2014年度の黒字額2.6兆円(比較できる1985年以降で最少の黒字額)から2015年度は原油安の影響もあり10月時点ですでに15兆円規模まで劇的に改善している。2016年度はさらに改善するとの見通しである。経常収支の改善は潜在的な円買い需要の拡大を意味する。米国の金融引き締めスタンスは確かにドル高要因である。しかし、ドル円相場が125円台へと再上昇し且つ上値トライ継続のためには「円安要因」も必須条件となるが、今年はこの点がドル円の上値抑制要因となる可能性が高いが故に筆者は円高優勢の1年になると考えている。

では、今年の円高水準はどのレベルとなるのか。
この点については中国経済の情勢次第だろう。2016年の中国の経済動向に関する論点は突き詰めて言えば、ソフトランディングとなるかハードランディングとなるか、この点に集約されよう。この問題については別のレポートで詳細に述べる予定だが、ソフトランディングならばテクニカル面で考えた場合113円台の維持(異次元緩和導入後の高安38.20%戻し113円ミドルレベルの維持)が焦点として浮上しよう。

問題は後者のケース(=ハードランディング)の可能性が意識される場合だろう。このケースでは、「商品市況のさらなる低迷→株式市場の不安定化&新興国経済の低迷」を背景にリスク回避圧力が強まろう。また、米国の利上げペース(現時点でのベースシナリオは四半期ごとの利上げ)が予想外に減速することで、「ドル高要因」が後退する可能性も高まろう。つまり中国リスクは「ドル高要因」と「円安要因」の両方を後退させる材料になるということである。中国経済のハードランディング・リスクが意識されるならば、110円すら一時的に下方ブレイクする展開が想定される。

current-account

Technical analysis highlights

USD/JPY

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • 外国為替市場

    世界最大で最も流動性の高い金融市場の仕組みについて理解します。どのように国際通貨が取引されているかをご説明し、ポピュラーマーケットの取引を開始する前に知っておくべき重要ポイントを押さえます。

  • 取引方法

    商品は、ほぼすべての製品の裏側の不可欠要素として、近代経済になくてはならないものです。不安定ながらも価値の高い天然資源が、幅広い取引の世界でどのような位置を占めるのか学んでいきます。

  • 配当金

    株式なくしては、各国の経済に不可欠な株式市場は成り立たないでしょう。ここでは、株式取引が個人投資家の収入源と大きな資産になる一方、いかに企業の拡大・成長につながるかということを学びます。