師走相場の前のドル高トレンド転換要因

Market Overview

今週の焦点は「トランプ相場」の持続性にあろう。米国市場では、株高と金利上昇の「共存関係」が継続している。この関係が崩れない限り、外為市場での米ドル高トレンドも継続しよう。ドル円は112.00レベル、ユーロドルは1.05レベルの下方ブレイクが目先の焦点となろう。「師走の相場」の前に上記の「共存関係」を崩す要因として注視すべきは、①冴えない指標データ、②米国サイドからのドル高けん制発言と考えられる。

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Analyst's view

米国市場では株高と金利上昇の「共存関係」が成立し、それが外為市場での米ドル高を支えている。だが、現在の「トランプ相場」は本当に世界的なリスク選好トレンドを形成しているのか?と問われれば、答えはノーだろう。その点を示唆しているのが、グローバル株式のパフォーマンスを比較したチャート①。見事に米国株式と他の株式とのパフォーマンス乖離が鮮明となっている。この傾向が強まったのが米大統領選挙後である点を考えるならば、現在のグローバル株式市場はトランプ次期大統領が提唱していた「米国第一主義」が早くも顕在化しているということになる。言い換えれば、現在のグローバル株式は米国株式の一人勝ち状態という歪な状況になっているわけだ。
尚、日本株だけが米株に追随しているように見えるが、むしろ直近の上昇は、日本株のリスクを高めていると考えられる。この点を示唆しているのが、円安に対する感応度である。1週間ちょっとでドル円が10円以上円安に振れているにもかかわらず、日経平均は1万8000円台を回復するのがやっとの状況である。この事実は、現在の日本株がサポート役である日銀への依存度を高めていることを示唆している。現在は期待先行の円安も国内株式のサポート役を担っているが、この状況が加速すればする程、筆者が警戒する「師走の相場」で現在のトレンドが転換した場合、下落率が最も大きくなるのが日本株となる可能性がある。

「師走の相場」の前にトレンド転換があるとすれば、その要因として注視すべきは①米指標データと②米国サイドからのドル高けん制発言だろう。FEDによる12月利上げがメインシナリオとなる中、米指標データで冴えない内容が続けば、直近の米金利の上昇は一転リスク回避要因として市場で警戒されよう。ただ、個人的に警戒しているのは②の方だ。米ドル相場の方向性を示すドルインデックスは7日以降の連騰により2003年4月以来となる101.50手前のレベルまで急上昇している(チャート②)。目先もこの状況が続く可能性が高い。今週はFEDキーマン達のスピーチが週前半に予定されているが、米金利と米ドルのさらなる上昇を抑制しようとする発言をしてくれば、外為市場では急速に積み上がったドルロングポジションを調整する動きが散見されよう。ただ、そのような展開となっても単なる調整地合いであることから、ドル円の下落幅は限られよう。


【チャート①:グローバル株式】

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【チャート②:ドルインデックス】

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