リスク選好の持続性はクリントン勝利以外の要因にあり

Market Overview

クリントン候補の私的メールアカウント問題のリスクが後退したことで、7日の海外外為市場はドル買い優勢の展開となった。ドル円は104円台の維持に成功した一方、ユーロドルは日足基準線をローソク足の実体ベースで下方ブレイクし1.1027レベルまでドル高が進行した。ドル高以上に買い圧力が強まったのが資源国&新興国通貨だった。「トランプリスク」の後退に伴う「株高 / 原油高」を背景にこれら通貨は対ドルで堅調に推移した。

他の市場動向だが、海外株式市場は「トランプリスク」の後退を背景に総じてリスク選好の展開となった。S&P500が10日ぶりに上昇すれば、ダウ平均も10月10日以来ほぼ1カ月ぶりの高値水準まで上昇する展開となった。一方、NY原油先物相場(WTI12月限)も同様に反発。「株高 / 原油高」を背景に米金利も各ゾーンで上昇した。

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Analyst's view

昨日のリスク選好一色の相場は、かえって「トランプリスク」の大きさを証明したかたちとなった。10月下旬以降から意識され始めたこのリスクに対する市場の過敏さを考えるならば、トランプ候補勝利の場合、「株安 / 債券高(金利低下)」の展開となろう。外為市場ではドル売り圧力が急速に強まる一方、最も選好される通貨は日本円となろう。特にドル円は、一気に下値トライとなる展開が想定される。目先、注視すべきテクニカルは、10月5日以降相場をサポートし続けている89日MA(今日現在102.81)および75日MA(今日現在102.47)となろう。だが、「トランプリスク」はドル安だけでなく株安も同時に引き起こす可能性が高い。よって、ドル円は、これら移動平均線をことごとく下方ブレイクする展開が想定される。「トランプリスク」が顕在化した場合、最も注視すべきはやはり節目の100円トライということになろう。一方、クリントン候補の勝利となれば上記とは真逆の展開となろう。この場合、ドル円は直近の戻り高値105.53およびリトレースメント76.40%(100.09-107.49)の105.75レベルを突破し、7月下旬の戻り高値107.49レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう(日足チャート参照)。

 

米FBIの見解に対するグローバル市場の反応やアイオワ大学が運営する電子市場「The Iowa Electronic Markets」におけるクリントン候補勝利の確率が70%台まで回復している点等を考えるならば、今回の大統領選挙ではメインシナリオである「クリントン大統領誕生→リスク選好」が想定される。
ただ、その後発表される米指標データの内容や原油先物相場の動向次第では、リスク選好相場が単なる「ご祝儀相場」となる可能性がある点は要注意。米議会の「ねじれ」が解消されなければ政権運営能力に対する不透明感(=何も決められない政治への警戒感)も意識されよう。実際、4年前の大統領選挙では、再選が確実視されていたオバマ大統領が予想通り勝利をおさめたが、上記の「ねじれ」が嫌気され、翌日のダウ平均とS&P500は急落した経緯がある。7日のレポートで指摘した米利上げリスクが株式市場の圧迫要因となる可能性もくすぶる。クリントン候補勝利の場合、リスク選好トレンドが強まるだろうが、その持続性はクリントン候補の勝利以外の要因に左右され易い点を常に意識すべきだろう。


【チャート:ドル円のチャートポイント】

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