日米金融政策イベント=円高イベント

Market Overview

20日の海外外為市場は、日米金融政策の結果を見極めたいとの思惑が強く、大きな変動は見られなかった。米ドル相場は冴えない住宅関連指標の内容を受け売り圧力が強まる局面が見られるも、下落幅は限定的。対ユーロでは1.11後半、対円では101円後半でそれぞれ売り買いが交錯した。

他の市場動向だが、欧米株式市場に目立った動きは見られず。ダウ平均は3営業日ぶりに反発するも、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え上昇幅は限定的。一方、原油先物相場は(WTI10月限)は続伸した。アルジェリアとロシアサイドから生産調整に前向きな姿勢を示す発言が聞かれたことが好感された。原油相場の続伸はカナダドルをサポートした。また、米金融政策の方向性を織り込む2年債利回りは冴えない住宅関連指標を受け、一時0.76%台まで低下する局面が見られた。

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Analyst's view

「日銀イベント=円高イベント」

本日、注視すべきイベントは2つ。ひとつは日銀金融政策決定会合となろう。筆者は、今回の会合は円高イベントとして警戒している。焦点は総括的な検証とそれを踏まえた上での新たな金融緩和政策に絞られよう。総括的な検証では、①日本経済が未だデフレから脱却し切れない理由、②マイナス金利の効果と副作用についてフォーカスした内容となるだろうが、これまでの異次元緩和の正当性は維持するだろう。
市場がより注視しているのは、検証を踏まえた上での新たな金融緩和政策の有無である。筆者は、今回の会合でそれは見送られる公算が高いと想定している。これが「日銀イベント=円高イベント」と想定する理由のひとつだが、筆者の予想を裏切って黒田日銀が新たな金融緩和政策に踏み切るならば、イールドカーブのスティープ化(=短期金利と長期金利の差を大きくする政策)とマイナス金利の深掘りを軸とした政策へシフトする可能性が高いだろう。①市場で購入できる国債に限界が見え始めていること、②イールドカーブのスティープ化により金融機関の収益と年金運用への悪影響を避けることが黒田日銀の喫緊の課題として浮上しているからだ。また、「デフレから完全に脱却するまで」異次元緩和を継続していくことをはっきりと明示することで、時間軸政策の効果を強めてくることも考えられる。新たな金融緩和政策を打ち出してきた場合、市場のファーストリアクションは「株高 / 円安」となろう。ドル円は一目/雲の上限(日足)が推移している103円ミドルレベルを視野にオーバーシュートする可能性がある(日足チャート参照)。だが、アベノミクス第三の矢である「成長戦略=構造改革」が遅々として進まない状況での金融緩和強化の効果はすぐに剥落しよう。金融緩和のみでは新たな国内需要は喚起されず、それ故潜在成長率が押し上げられることもないからだ。異次元緩和の限界、この点が「日銀イベント=円高イベント」と想定するもうひとつの理由である。

FOMCはネガティブサプライズに要注意
もう一つの重要イベントは米FOMCだが、こちらも円高イベントとなる可能性がある。市場予想通り利上げを見送るならば、外為市場は素直にドル安で反応しよう。この場合、クロス円とは対照的にドル円はドル安圧力の影響を受け上値の重い展開が想定される。円相場全体で円高圧力が強まるかどうか、この鍵を握るのは米株の動向だろう。利上げ見送りは株高要因だが、一方で株安要因となる可能性も否定出来ない。米国経済が拡大基調に転じて早8年目に突入しているが、直近の指標データはその基調がピークアウトしている可能性を示唆する内容が続いている。このタイミングでの利上げ見送りが米経済の先行き懸念を市場に意識させるならば、「米株安→円高」というリスクシナリオが顕在化しよう。
また、上記のリスクシナリオを誘発するもう一つの要因として注視すべきが、予想外の利上げだろう(=ネガティブサプライズ)。この場合、「ドル高+株安」を背景にクロス円を中心に円高圧力が強まろう。ドル円はドル高圧力が一時的なサポート要因となるだろう。しかし、米株の下落がグローバル株式の下落の連鎖につながる可能性を考えるならば、株安を背景とした円高圧力がドル高圧力を凌駕し、結局は下値トライ(=100円トライ)の展開になると想定される。

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