週明け早々ドル高リスクの再燃に要注意

Market Overview

先週は、株高維持と原油先物相場の下げ止まりが同時に発生した。しかし、外為市場ではリスク選好を背景とした円高調整地合いは限定的だった。事実、日経平均とドル円のパフォーマンスを比較すると、2006年以降より鮮明となった順相関の関係が完全に崩れ、乖離が広がっていることがわかる(比較チャート参照)。今週は、日米金融政策という重要イベントに対する思惑を背景に、外為市場のみならず、他の市場も不安定化する可能性が高い―

bg_usd dollar united states new 2

Analyst's view

9日の米国市場では、ローゼングレン・ボストン連銀総裁やカプラン・ダラス連銀総裁による利上げに向けた地ならし発言により、米金利は各ゾーンで上昇。外為市場では当然のごとくドルショートカバーの展開となり、ドルインデックスはまたもやサポートラインを維持することに成功した(日足チャート参照)。ドル高は米株や国際商品市況の圧迫要因となり、9日NY時間はリスク回避優勢の展開となった。しかし、ドル円での円高は限定だった。日銀の総括的な検証について、マイナス金利が及ぼす効果が副作用よりも大きいとの見解で調整されるという一部観測報道が、円高圧力の相殺要因となったとの指摘がある。確かに現在の円相場と国内株式は「日銀相場」の様相を呈している。しかし、ETF買いによってサポートされている日経平均とは違い、ドル円は重要テクニカルである一目/雲の下限(日足)どころか、転換線(同)すら完全に突破出来ずにいる。よりファンダメンタルズに沿った動きをしている現在のドル円の状況は、市場が黒田日銀の動向を読み切れていない事実の表れと想定できよう。

筆者は当初、米金融政策の不透明感が強く意識されるタイミングを、米国の指標データが発表される今週15日以降と想定していた。しかし、冴えない指標データが続いてなお、相次ぐFEDサイドからのタカ派発言や12日のブレイナード専務理事の講演設定を考えるならば、週明け早々、米金融政策の不透明感が真っ先に意識される可能性が高まってきたと言える。

ブレイナード専務理事の言動に注視すべき理由は、利上げに対し慎重派である同氏の講演が米連邦公開市場委員会(FOMC)に関するブラックアウト(情報公開停止)期間に入る直前に急きょ設定されたからだ。ハト派のブレイナード専務理事が直近の冴えない指標データを考慮して尚、早期利上げを支持するシグナルを発信してくれば、「イエレンFRB内のコンセンサスは早期利上げで統一された」と多くの市場関係者は判断しよう。時期としては当然「9月利上げ」も意識されよう。この観測の再台頭は、米国市場で「米金利上昇→ドル高」圧力を強めよう。冴えない指標データが続くタイミングでのドル高リスクの再燃は、米株の調整圧力を強める主因となろう。結果、円相場は「ドル円での上昇vs クロス円での下落」という9日と同様の展開が想定される。このタイミングで、原油先物相場が崩れれば、リスク回避圧力が円相場全体を覆い、ドル円はクロス円の下落に追随する展開となろう。今週のドル円は一目/雲(日足、103.67-105.20)を上限、100円を下限としたレンジ相場を想定したい。


【比較チャート】赤ライン:日経平均  緑ライン:ドル円

comparison-0912


【ドルインデックスチャート】

dxy0912

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • IG証券の原油先物取引

    商品は、ほぼすべての製品の裏側の不可欠要素として、近代経済になくてはならないものです。不安定ながらも価値の高い天然資源が、幅広い取引の世界でどのような位置を占めるのか学んでいきます。

  • 注文とは

    ポジションを保有・清算できるいくつかの方法を学びます。単純な直接取引から、人がいなくても自動で指示を出すような取引までいろいろあります。注文取引により、利益額をあらかじめ設定したり損失額に対してストップをかけたりできます。複数の注文方法を紹介するとともに、利用方法を説明いたします。

  • レバレッジと証拠金

    ここでは、IG証券の取引プラットフォームを紹介し、多様な資産クラスを提供するCFDを有効に取引するための方法について説明いたします。また、ストップ注文やリミット注文などの機能、レバレッジ取引の仕組みについても解説いたします。